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1 新井英樹・入江喜和 画業30周年原画展トークショー 有楽町編

2019/10/17〜10/30丸井有楽町店8階イベントスペースで漫画家新井英樹氏と入江喜和氏夫妻の画業30周年共同原画展が開催されました。 開催記念として10/20に行われたトークショーの様子を書き起こしします。

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上の画像左から司会の斉藤氏(司会)、新井英樹氏(新井)、入江喜和氏(入江)、原画展主催アートシーカー株式会社会長(主催)

主催:今日は先生方どうもありがとうございます。今日は入場券関係でご迷惑をおかけしまして改めてお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。
まず先生方をご紹介させて頂きます。一番向うが担当編集の斉藤さんです。後は新井先生と入江先生ですが、今日は先にですね私の方で2、3分ファンを代表しまして先生方に軽く質問させていただこうと思っております。

作品のことについてとか編集のことは編集の斉藤様と踏まえて色々なトークがあろうと思いますので、私の方は今日はプライベートなことをお聞きさせて頂こうと思っています。
まずは入江先生にご質問をさせて頂きます。先生方はご夫婦ということなんですが、当然、新井先生は入江先生にとって同居の漫画家であると共にですね、もう二つの顔があると思います。

一つは旦那様、配偶者ですね。もう一つはお嬢さんがおられますから、父親の顔があると思いますが、そういった所でのご質問をさせて頂けたらなと思っているのですが。入江先生にとって新井先生は配偶者ですね。どの様な所が惹かれるところで、どういった所がやや日常生活で許せない事。こういうのはご夫婦でも有ろうと思います。日々であること、小さいことで先生のことで感じることは?まず、自分の配偶者としての側面を。

入江:許せないこと…難しいですね。分けて考えたことが無いので、一人のキャラクターとしていつも見てるんですけども、惹かれるというか昔から偉いなと思うのはシツコイ所ですね。もう、すっごいシツコイ「もういいじゃんそこで」というのが無いというかやるんだったらもう、とことんやらないと気が済まないから、それをこっちが「もういいじゃない」とか「適当で」なんて言ったらもうメチャメチャぶち切れちゃう余計に。

だから、それが仕事では良い面に出てこういうふうになってるんだろうなとは思ってるんですけど、旦那としては…やりにくい人ですね。そんなに家庭…あんまりいうと後がね…でも、娘に対してはとても優しいので。

主催:良い父親…

入江:そうですね。そうだと思いますね。私は不器用なので赤ちゃんの爪とか全然切れないんですけど、率先して切ったりして、そういうところは初めて良い人なんだなとその時に思ったことがあるんですけど。そんなところです。

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主催:あともう一つ。今連載中の『ゆりあ先生の赤い糸』倒れた旦那様の話が出てきます。非常に濃厚な話なんですが、新井先生のファンの方は読んでないかもとは思うんですが、ゆりあ先生という学校の先生がですね…

入江:学校じゃなくて刺繍の先生…

主催:すみません、(ゆりあ先生の)旦那様が倒れて介護しないといけなくなったんですが、そこで色々な人物が集合させますよね。そこで、あらすじとともにどの様な発想で…

入江:今回同人誌(原画展で発売されている『入江喜和 画業30周年記念 キワ本』)に書いてあるんですけども、自分の発想は担当の人にこんなのどうですか?あんなのどうですか?というのを適当にまあ、これだったらやってけるかなって感じでミックスしているんですけど。皆さん気になってるのは倒れた旦那はうちの旦那がモデルじゃないかっていうのが、造形がよく似ているって言われまして。

主催:気になってて、私もすごく。

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入江:いや、難しいんですよね。この間(10/6丸井錦糸町で行われたトークショー)のようにいつも言ってるんですけど、モデルにしてますか?て言われるんですけど。それって最初の一瞬の見た目と思ってもらったほうがいいんですけど、後は描いてるとどんどん違うキャラクターになっていくので全面的にモデルってわけでは無いんですけども、見た感じ似ちゃってるのかなというのはあって。
それは余所の人をモデルにばかりにしてると後で面倒くさいことが起きたりするんですよ。だから、うちの連中だったら良いだろうという事が有りそのぐらいな感じですね。はい。

主催:もし、(入江先生の)旦那様が倒れたら…

入江:大変でしょうね、後のことは全部私に丸投げかよっていう。

主催:愛人関係を皆さん探して…『ゆりあ先生の赤い糸』がそうですけどね。

入江:自分で描いちゃってることだから、ああやっぱりそういうこともあるんだって感じじゃないかと思うんですけど。

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主催:あとは『昭和の男』とか先生のキャラクターはこう言ってはなんですが古風な男性が多ございますね。

入江:そうですね、うちの父親が古風な男だったので。今の若い人とか無理して描こうと思っても分からないですね。

主催:あともう一つ、作品の目線が低い『男はつらいよ フーテンの寅』という映画がありますが、カメラアングルを山田監督が通常に比べて低く撮ってるんですね。それによって親しみ深い空間を演出しているんですが、先生の作品で凄くそういうのを感じた部分があったんですが。

入江:いや、あんまり考えたことは無く、ただ写真を撮りに行ってそれを資料に描いていてるので、自分が低く低く撮ってるからそういうことなんでしょうけどね。あんまり良くわからないんですけど。
描くにあたって意識はしてなくって後で人に言われて、ああ、そうなのかと。テーマとかも人に言われて、ああ、それがテーマねっていうような。