ワイヤレスピンマイク「SHURE MoveMIC」ファーストインプレッション 〜操作感に安心感のある製品〜
今回はSHUREから新しく出たワイヤレスピンマイク「SHURE MoveMIC」を試してみました。
他製品も溢れる市場ですが、意外にも搭載機能は少なく、シンプルな製品に仕上がっています。
しかし、私は今まで触ってきたワイヤレスピンマイクの中だと、一番良い印象を覚えました。
今回はそんな私のファーストインプレッションをお届けしたいと思います。
概要
「MoveMic」はSHUREが新しく発売した2.4GHz帯のワイヤレスピンマイクです。
最大2つの送信機を使うことができ、受信機は3.5mmジャックとUSBで出力ができます。送信機とスマホを直接ペアリングすることも可能です。
送信機に録音機能はなく、音声を送るのみとなります。また、受信機も音声エフェクトこそ豊富ですが、音声操作に特化したシンプルな機能な印象です。
この手の製品は既に様々なメーカーが製品を発売していますが、そんなレッドオーシャンにあのSHUREが参入してきました。
私も色々なワイヤレスピンマイクを試して来て、直近では「RODE Wireleee PRO」と「DJI Mic2」を試したことがありました。どちらも独自機能やエコシステムを強化したハイエンド機といった印象でした。
これらに対して後発のSHUREはどう差別化して来たのか、そこに興味がありレンタルをしてみました。
結論から言うと、RODEやDJIに比べてMoveMICは驚くほど機能が少ないです。それでいながら、価格はむしろ一番高くなっています。
実際に触った印象としては、MoveMICは機能を絞りシンプルにすることで、業務用途にターゲットを絞ってきているような印象を受けました。
一体どういったことなのか、今回は「良いなと思った点👍」と「微妙だと思った点🤔」をまとめて行きます。
1分まとめショート動画
印象に残った点を、ショート動画にまとめてみました。実際の質感など伝わればと思います。
この記事では、より広く・深い範囲で、印象に残った点を紹介していきます!
👍エフェクト設定が柔軟
使ってみて最も印象に残ったのは、他社に比べて音声のエフェクト調整が柔軟だったことです。
マイクごとに「ノイズ除去」「ハイパスフィルター」「コンプレッサー」「イコライザー」の設定が可能です。
特にイコライザーの設定までできるのは、この手のワイヤレスピンマイクとしては初めて見ました。他社製品にはもしかすると無いのでは?
これらの設定は受信機からもできますし、スマホと直接続している際はアプリからも設定ができました。どちらも設定できる内容は同じだと思われます。
本格的な音響機材に比べると機能は限定的ですが、他社製品よりも拘った音が作れるのではないかと思います。
音響畑の方にとっては、自分なりの音が作りやすかったりするのかなと想像します。
👍遅延は少ない
ワイヤレスマイクのライブ配信と言えば、気になってくるのは遅延の量です。
遅延が大きくなると、有線マイクと混在した時に音のズレが気になってしまいます。以前試したDJI Micは、遅延が多くライブ配信では使いづらい印象でした。
SHURE MoveMICは公称の遅延が15.33ms。実際に試してみると、ほぼ同じ値になったので、確かな数字なようです。
公称8msのRODEには負けるものの、30fpsなら1フレーム以下です。これなら、多少有線マイクと混在していても使えるのかなとは思いました。
ただ、改めてRODEワイヤレスマイクの遅延が少ない強みは実感した部分です。
👍わざとらしくないノイズ除去
MoveMICにはノイズキャンセル機能が搭載されており、送信機ごとに設定が可能です。
試した印象だと、程よいノイズ除去をかけてくれている印象でした。実際に比較してみた様子がこちらです。
比較的静かな環境ではありますが、サーっと言うノイズは消していつつ、声自体はそんなに変わっていない印象です。
以前にDJI MIC2を試した際は、デフォルトでもノイズ除去がかかったようなわざとらしい音でした。それに比べると、私はこれくらいのかかっている感じが好きです。
👍使用感はシンプル
MOVEMicの使用感はとてもシンプルです。迷わず使える簡単さがあります。
録音機能がないため、送信機でできる操作は電源・ミュート・ペアリングの3つだけです。送信機にあるボタンは1つだけでした。
設定も受信機だけで完結できるのも好印象だった点です。
例えばRODE WIRELESS PROは、設定の多くにアプリが必要で面倒でした。それに比べると、MOVEMicは配信中のトラブルにも即座に対応できる安心感があります。
特に、受信機の設定がツマミなのが良かったです。例えばDJI MIC2はスワイプ操作で、とっさの操作だと間違えそうでした。クリック感のある物理操作の方が、急ぎの時にも間違えない信頼性があると思います。
🤔受信機はケースに入らない
この手のワイヤレスピンマイクと言えば、ケースも使い勝手に繋がる重要な要素です。
例えばDJI Micのケースは磁石がうまく効いており、AirPodsのような使い勝手です。RODE WIRELESS PROは端子接続なものの、送受信機は一つにまとまっています。
一方のSHUREは、後発ながらケースは割り切った姿勢を感じます。
マイクはケースに入るものの、受信機はケースには入りません。一応ポーチはありますが、率直に言って他に比べると微妙です。
ケースから即座に出してセッティングする、みたいなカジュアルな用途を重視していないいない気がします。
🤔スマホとの直繋ぎは専用アプリのみ
その意味では、送信機の方はカジュアルな用途も想定されています。
と言うのも、MOVEMicの送信機はスマートフォンとの直繋ぎに対応しているからです。
受信機がケースに入らない分、サクッと使いたい人は直接接続で、というメッセージを感じました。
しかし、スマートフォンと直繋ぎで使えるのは専用アプリのみのようです。
例えば、電話・Web会議・カメラアプリなどなど、他のアプリではマイクとして使うことができません。他アプリで使う場合は、受信機からUSB接続をする必要があります。
他社にはマイク扱いとして直繋ぎができる製品もあるので、これは残念なポイントだと思いました。
🤔お値段は高い
MOVEMicの市場価格は約7万円。他社のように録音機能がないことも考えればお高い印象です。
例えば、RODE Wireless PROはタイムコード機能を搭載して動画撮影の効率化を狙っています。また、RODEもDJIも自社製品と連携して、エコシステムで囲い込んで来ています。
MoveMICにはそう言った個性の強い機能はなく、機能数だけを見れば強気な価格だと思います。
ただ、ここについては狙っている層が異なるように思いました。この点は
まとめ
以上、MoveMICについて、印象に残った点をまとめてみました。
繰り返しになりますが、MoveMicの機能はとてもシンプルです。ワイヤレスマイクの機能に特化しており、カジュアル層にウケそうな機能はバッサリと削っています。
そのエフェクトの柔軟さやシンプルな使い勝手は、むしろ業務の現場なら価値に繋がる部分だと思います。そう言った点から、セミプロ以上を狙った製品のように感じました。
私自身は、今まで触ってきた中では一番欲しいな、と思わされるワイヤレスピンマイクでした。対応できる幅は狭いのですが、安心感ができる使い勝手だったからです。
とは言え、今回は1日のテストでしたし、他製品と直接比べたわけでもありません。機会があれば、より実践的な状況でも使ってみたいと思いました。
と言うことで、ファーストインプレッションは以上になります。ご参考になれば幸いです。
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