230601

数日前の松山から九州に帰る道中を思い出している。電車の中、田舎特有の向かい合うスタイルのボックス席に、人が来ないでほしいなと思いながら座っていた。本当はバスで移動するのが楽なのはわかっている。座席は倒れないしいちいち止まったり動いたりするし。でも何故か電車を選んでいた。

急に大挙して乗ってきたと思ったら、一斉に降り去っていく学生たち。きっと学校の最寄りなんだろう。
古風な民家の庭でタバコを吸う老人、きっと近隣の苦情は寄せられないんだろう。
丘の下に行儀良く並んだ戸建ての脇を歩く人、遠すぎて性別すら分かんない。

きっとこういう人たちとはもう二度と会わない。会わないというかただ同じ空間に居たり見かけただけ。一瞬目が合ったあの学生とも話すことはない。でもそれぞれが生活を営んでいるという、歴とした事実。決して知ることのない人生が立ち並んでいる様を漫然と眺めていた。人と人とが「関わり合う」の中に、「関わり合わない」がその何十倍もある。そう思うとほんの少し切なくなってしまう。何度覚えたか分からない感情の名前は、これを書いている今も言語化できないでいる。

地方の電車に乗るとそういうことを考えてしまう。これが好きかって言われるとそうじゃないんだが、気がつくとそんなことばかり。イヤホンから流れていたはずのラジオが止まっていることには暫く気付かないまま。

もう6月。そこまで夏が迫ってきている。流行病になって治ってもう1ヶ月、早いな。そろそろ回ってきたツケに向き合わなければ。

梅雨の季節が一年で一番嫌いです。

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