「神さまも知らない」 「光で歴史を作ろう」 未来のことは誰にも分からない。 また誰に支配されるものでもない。 無限の可能性が待っている。 生きているかぎり… 闘いは終わった。 私は自らの囚われていた運命を打ち破ったのである。 しかし、本当の闘いはこれからなのだ。 私はただスタートラインに立っただけに過ぎないのである。 これから何をするのか。 何を成すべきなのか。 正直、すぐには分からない。 ただ、グズグズはしてられない。 何せ32才の無職なのだから。 命は有限である
「俺は1人ではない」 「かつて嘆き苦しみながらも生きてきた」 「すべての自分と共に」 「俺は闘ってきたんだ」 男は再度成し遂げる。 そしてある誓いを立てる。 再び闇に迷うことがないように。 真の強さに気づいた私は再度取り組みはじめた。 最盛期のメニューではなく、初めの頃の軽いものを。 そして段階的にレベルを上げていき、闘いの日々を過ごした。 そうすることで無理なく楽しくこなしていくことが出来た。 人と比べてはならない。 そう学んだはずだった。 それは他人だけではなく、己も
「何故(なにゆえ)強くなれたのかを忘れるな」 男はどこか舐めていた。 やる事は決まっている。 ただそれを成すだけだと。 そんな浅はかな思いはすぐに打ち砕かれることとなるのであった。 五線譜は手中にある。 それを奏でるのみ。 これはRPGで言う「強くてニューゲーム」のようなものだ。 こう思えばやれそうな気がする。 リバウンドに挑むにはうってつけの思考だと思った。 だがそれは幻想にすぎなかった… なぜ、なぜ上手くいかない。 前と同じことをこなしているだけなのに。 驚くほどに
「こんなに早く戻ってくるなんてな…」 男は再び旅立った。 かつて手にした輝きを取り戻すために。 そして今度こそは手放さないと誓う。 復活した私は勢いのままに電話をかけた。 何かプランがあった訳ではない。 ただこれ以外に道はない。 本能のままに突き進んだ。 昔の臆病だった自分では考えられない。 電話の相手は不動産屋。 もう一度あの土地でやり直す他ない。 それ以外に思いつかなかった。 担当は本当にビックリしていた。 それもそのはず、退去してからまだ2ヶ月ぐらいしか経っていな
「俺にもう一度、金色の輝きを」 身体の芯から力が湧き上がる。 これまでの自堕落な生活で弱り切っていた心臓の鼓動が早くなる。 こんな感覚は久しぶりだった。 目標に向かいただひたすらに前だけを見ていたあの頃。 今再び、心は鎧を纏おうとしていた。 唯一無二、自分だけの金色の鎧を。 身体に電撃が走った後、あまりの衝撃にうつ伏せになった。 そして毛布を羽織りながら立ちあがろうとし始めた。 しかし、なかなか起き上がれない。 気持ちは前を向き始めていたが、やはり怖かった。 またこん
「こんなとこで終われる訳ねぇだろうが」 男は雷に打たれたような衝撃を受けていた。 物語が動き出す時、必ずと言っていいほど打たれているような気がする。 そんな中でも、この雷の威力は歴代最強だったように思う。 DVDは鬼滅の刃の劇場版、無限列車編だった。 実はこの映画を見るのは2回目だった。 映画館で見た時の正直な感想は、 え、敵倒さんと終わるん❔味方死んでんのに。 というマヌケな感想だった。 見たことあるしなぁと思いつつ、他にすることもないので再生することにした。 お菓子と
「結局、自分の人生ってこうなるんや」 男は生きる屍と成り果てていた。 自分の存在理由、生まれた意味を見失い、ただ漫然と日々を過ごす。 きっかけを、何か強いきっかけを待ち続けていた。 いつの間にか自分の手で運命を切り開こうとせず、かつてのように受け身になっていた。 あの日以来、布団の上から動かず、毛布に包まりパソコンにしがみつく日々。 youtubeで動画を垂れ流すばかり。 簡単に言えば引きこもり状態。 そうでもしないと自分を保て無いような気がした。 このままではダメだと心
「たとえ万策尽きたとしても」 「一万と一つ目の手立てがきっと」 「ここにある」 一度壊れたものは、元に戻ることは出来ない。 たとえ見た目は同じように見えても、厳密には同一ではない。 それが「モノ」である限り。 だが、「心」ならどうだろう。 あの日、男の心は砕けた。 希望の光を手にした後、味わうことになる絶望は破格の闇である。 もう自分には何もない。 何もできない。 何もしたくない。 傷つきたくないから。 下手に希望を手にしたくないから。 結局上手くいかないから。 無
「じょ、冗談やんな」 「今まで俺がしてきたことって…」 あるアニメでも言っていた。 希望が絶望に変わるその時、膨大なエネルギーが生まれると。 私は未だかつて感じたことのない最大にして最凶の闇に呑まれていた。 時は2022年1月。 ダイエットを始めてからあと少しで約1年になる。 そう回想していた私は無気力だった。 以前は-50kgを達成するという揺るぎない、そして巨大な壁に挑んでいた。 あの頃は毎日が輝いていた。 痛みや苦しみ、悔しさといった激情の全てが愛おしく思え、日々を
「まぁ、今日ぐらいはいっか」 始まりは些細なことだった。 日課のウォーキングを1回サボったことから始まる。 その心の隙が悪魔を育てるのに最良の環境とも知らずに。 実家に戻ってからも、福知山の時と変わらず運動は続けていた。 食事でも家のご飯をつまみつつ、コーンスープ、ちくわ、納豆の基本スタンスを崩すことはしなかった。 年末のあたりまでは… 言い訳にしかならないが、やはり家に居ると家のペースがある。 食事のタイミングしかりご飯の内容しかり。 以前はタイミングの全てを自分1人
「こんなに変わるもんなんやな」 変わらない同じ世界のはず。 だが、瞳に映る彩りはかつてとはまるで違う。 何が変わったのだろう。 変わったのは己の心、いや魂と言うべきか。 久しぶりの故郷(8ヶ月ぶり)。 変わったところはあまり無いように感じた。 自分の部屋が無くなり、妹に所有権が移っていた以外は… そんな折、かつての勤務先の親しい人からお誘いがあり会うことになった。 そこで準備が必要になり、以前とは異なる世界を感じることになる。 まずは行きつけであった美容院に出向いた。
「三日天下ではアカンよな」 適正体重を手に入れても、それが維持されなくては意味などない。 これはTwitterで学んだことだった。 この意識を持ち続けていれば… -50kgを達成した私は、まずは体重の維持を考えた。 だが、それだけでは駄目だと直感した。 何故ならいつまでもコーンスープを飲み続ける人生は流石に味気ないからだ。 そんな時、スーパーで出会ったのが「ちくわ」と「納豆」であった。 どちらもタンパク質を含んでおり、何より安い。 ケチな私が迷うことなくカゴに入れる程に。
「どうしてこうなった、 どっから歯車がズレた」 気付いた時にはもう手遅れだった。 いや、正確には立ち向かう気力を完全に失っていた。 自分の存在意義が足元から崩れ去る、そんな感覚。 全てを失うのに気がつくのは一瞬かもしれないが、あらゆる形で警告はされている。 それに気づくことが出来るかどうか。 それが一番重要だと私は思う。 希望が絶望に染まる時、人は深い闇に飲み込まれる。 夢なんか抱くんじゃなかった。 こんなことなら達成感なんて味わうんじゃなかった。 全てが否定されるよ
「思い出の中で、じっとしていてくれ」 思いのほか、感動しなかった。 多分、達成することに何ら疑いを持たなかったからだと思う。 それほどまでに、私は自分を信じ続けた。 運命をこの手で変えると誓ったあの日から。 ダイエットを始めてちょうど180日目。 目標に掲げた-50kg。 遂にそれを達成し、64.9kgに。 夢ではなく、現実のことなのだ。 今まで完遂出来ないことだらけだった私の人生。 初めて報われたような気がした。 思い返せば始まりは酷いもんだった。 親戚中から馬鹿にさ
「もう31才になるんかぁ」 誕生日ということで近くの(徒歩25分)ファミレスでカツ丼ランチを食べる。 スーパーでお菓子、アイス、和菓子を購入し豪遊、圧倒的豪遊。 一見、ふざけてるように見える光景。 しかし、この無駄からしか気付けないこともある。 8/31、学生時代はラストサマーと呼ばれた私の誕生日。 もし夏休みの初めならゲームし放題やのにと子供の時は思うこともあった。 気がつけば31才。 この間大学でやっと20才になったと騒いでいたのに。 年を重ねるにつれて経過は早まるば
「こんなことってあるんかいな」 驚きのあまり思わず声が出た。 普段アパート住まいで物音や声を出すことは極力控えていたが、抑えきれなかった。 あの衝撃は忘れられない。 停滞期や腹痛を乗り越え、ある程度の結果を出すことが出来た私は一度実家に帰ることにした。 少し大袈裟に聞こえるかもしれないが同じ京都府内で、電車で大体2時間半くらいである(アパートから駅まで40分歩くのはご愛嬌)。 いつもは動きやすいジャージを着用していたが、さすがにその服で京都駅を経由するのは恥ずかしいと約4