おかあさん、おかあさん。4

母が仕事場で「ロンドンのバスが赤いのも、バナナが黄色いのも、他人のせいにしない」という姿勢を取る以上、家の中は職場でガス抜きされなかった不満の持ち帰り場所になってしまう。わたしはそれがいやだった。

「そこは、仕事と割り切って」

と、ある日すごーくオトナなセリフを(誰かの小説かマンガから仕入れた言葉だ)母にやんわりと返してみた。

「うん」

と、母は言った、

「そうね」

と。言ったその日。

そしてその翌日、仕事のできるシニアに

「言ったことをすぐやる人がいいとか、素直な人が伸びるとか、箸やおしぼりを飲み会の席で配れる人とか、そういう人が一流に好かれるっておっしゃいますがね、それを真に受けてバブルのころどれだけの人材が体を壊して、くも膜下出血で死んだり、胃潰瘍でつぶれたり、肝炎ぎりぎりのところで仕事のパフォーマンスがガタ落ちしたりしたか、お忘れではないでしょう。自分たちが使いやすい人材をそうやって選別するのは、それはある意味その通りの方程式でしょうよ、でもそれで無理をした子たちが続出して日本がガッタガタになったことを、よもやお忘れではありますまい」

と前置きして

「…子育て失敗したくせに、結婚失敗したくせに、なーにが ”一流に好かれる” だ、一流とやらに媚び続けてろ」

と言い放った。



「ああ、おとなげない!!! わたし、ファーム(会社のこと。コンサルティング事業をしている会社は、よく自分たちのラボを「ファーム」というんだそうです。まじでブロイラーみたいに徹夜組が寝泊まりしています)やめるわ」

と帰ってきて母は言った。


ええと、それは、『戦国コミケ』の中に出てくる信長様が

「比叡山、焼くわ」

といったときのような感じで言った。


※この物語はフィクションです、フィクションじゃない部分はいっぱいあるけどフィクションです。実在の人物、団体、コンテンツ、どなたかの発言とは、一切関係がありません。インスパイアされてますが、反論っぽい話の流れにしたりはしてますが、尊敬してますっ。だから怒らないでくださいっ。by娘


はあーこの瞬間に、現金収入、なくなったわ。

「最大値の2割」ぐらいで構わないから、ご機嫌でいたい。いろいろあって、いろいろ重なって、とてもご機嫌でいられない時の「逃げ場」であってほしい。そういう書き物を書けたら幸せです。ありがとう!