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人生は朝焼け
眠れずに過ごした目で見る朝焼けには無常を感じる。
思えば、自分と朝焼けの間にはいつだって諦めが転がっていた。
夏休みの宿題が終わらずに眺めた朝焼け。
思春期の青さで腫らした瞼に差した朝焼け。
3次会帰りに通勤サラリーマンの波に逆らい、1限の存在に気づきながら目を閉じた隙間の朝焼け。
馬鹿騒ぎ後の学生を尻目に、研修場所の遠さを恨んで目を閉じた隙間の朝焼け。
どうしようもない時期、朝焼けのベランダに座り込んでトーストを喰らい、人でできた海が満潮になる様子をぼーっと眺めるのが日課だった。
朝焼けがただの朝になり、ただの日中になっても眺めていた。
無駄に職場の近くに住んでいたので、誰にも気付かれたくなくてぎゅうぎゅうに小さくなっていた。
その背中に降りかかる朝焼けが一番諦めで、一番無常だったと思う。
今日の朝焼けは、なんか海の町みたいな朝焼けだった。全然海近くないし、なんかあんま焼けてないけど。なんか生焼けって感じ、生焼けって嫌だな、レアにしよ。
レアウミモドキ朝焼けで始まる人生は如何程か。
知らんけど、とりあえずトーストを焼いてみる。
ちなみに最初の写真は全然朝焼けじゃなくてフツーに夕方だった。
朝焼けの写真って無い。センチメンタルボケして「この朝焼けは今日の自分にしか見られないから……」とか思ってんじゃねぇかな。
めっちゃ騒ぐ鳥が喚いててうるせぇなぁ〜。生きろ獣どもよ。
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