[いい写真を考える] ①ボケるとなぜ綺麗なのか?編
この記事を読むにあたって,ひとつだけ注意事項があります.
・いい写真の定義なんてものはないので,好きに撮りましょう.
こんにちは.根っから理系の大学生です.趣味で写真を撮り始めてからいい写真についてずっと考えてきました.あくまで趣味であるならば,自分が好きだと思えばそれはいい写真ですし,他人の意見が入る余地はありません.しかしながらSNSで毎日のように写真に触れる昨今,他人に褒められる写真が“いい写真”と考えられがちです.また,プロとして写真を撮ってお金をいただくには,第三者であるクライアントやお客さんからいい写真だと評価されること,そして満足してもらうことが大切です.
つまり,この【いい写真を考える】シリーズというのは(第1弾ですが),人によって定義が違うはずの”いい写真”とはなんだろうと整理するために書くつもりです.こういう考え方もあるのだ,と捉えていただけたら幸いです.
さて、ボケるとなぜ綺麗なのかという理論についてです.写真の要素のひとつとしてボケ(被写界深度)があり,背景がボケた写真は綺麗であると考えがちです.しかし,なぜ綺麗だと思うのか実際に見てみましょう.
花の油漬けがあります.ハーバリウムと言うらしいです.今回はこのハーバくんを主役に例を作りました.
1枚目のこの写真はボケるように撮りました.設定でいうとF2(絞りを開いて)で撮影しています.主役であるハーバくんははっきりと,でも背景の植物はぼやけています.
つぎにこちらの写真を見てみましょう.
F11(絞りを閉じた)に設定し,明るさはそのままになるように設定しました.こちらの写真は背景までうつっており,どんな植物が生えているかも見えてきました.
2枚の写真を見比べたとき,どちらのほうが好きでしょうか?
おそらく1枚目がすきだという人が多いと思います.なぜなら,1枚目の方は何が主役で,何が背景かということがはっきりしているからです.写真を見せたときに
1枚目:植物のある場所を背景に,丸太の上にハーバリウムが置いてある.
2枚目:ハーブやら観葉植物やらが生えている庭に,かなり古そうな丸太が置いてあり,その上にハーバリウムが置いてある.
という印象を受けるのではないでしょうか?撮り手側が意図して見せたいのはハーバリウムですから,この場合1が正解です.2は第三者の受け取り手が見たときに視点が散らばってしまいます.これは写真を使ってのコミュニケーションにおいては失敗です.意図したことが伝わっていませんから.
もうひとつ,同様な例を見ましょう.
机の上に,ハーバリウムが置いてあります.ボケさせて撮っています(F2).ぼんやりと背景は見えていますね.
次に二枚目,絞ってF11で撮りました.さっきは気にも留めなかった背景の赤いものはなんとダルマでした.こうなってしまうと主役だったはずのハーバくんにはまったく目がいかず,ダルマくんばかり気になります.
整理すると,写真がボケることによって
・背景が気にならなくなる.
・被写体(主役)に視点が集中する.
という現象が起きています.つまり,撮り手が伝えたい事(ハーバリウムが綺麗)がストレートに伝わるということなのです.
最後にもう一例だけ.
1枚目.絞って撮影.
2枚目.絞りを開いて撮影.
ボケの応用として、玉ボケを使いました。玉ボケとは、背景に光源がある場合それが玉の形になるものです。
絞って撮ると雑多な背景が、あっという間にドットに早変わり。臭いものに蓋どころか、いい匂いになってしまいました(わかりにくい例え)。
まとめ
背景情報が多い写真でも、ボケをコントロールすることで主役をはっきりさせることができる。それによって撮り手の意図を、受け取り手に分かりやすく伝えられる。
ボケると綺麗になることを知って撮る方は多いと思いますが,改めて”なぜボケると綺麗なのか”を考えることで,さらなる写真技術の向上につながるのではないでしょうか.
お付き合いありがとうございました.次回の【いい写真を考える】でお会いしましょう.
いつもサポートありがとうございます.