しらゆりの記憶
この記憶、萎れることはなくってよ。
珍しく1枚も花びらが落ちることがない日だった。
わたしの心かと思った。
翌朝、
ていねいに椅子が机の下に戻されているのが、ベットから見えた。
あなたの心かと思った。
普段より多い、乾いた食器たちを戸棚に戻すとき、
台所に見えた色たちに潤いがあった。
私の心かと思った。
昨日は落ちることがなかった白百合は、
今朝、1枚散った。
でも床には落ちず、コップの水が受け止めていた。
あなたの心かと思った。
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