仮面ライダーゼロワン 「ネットに渦巻く悪意」を背負わされたメタルクラスタホッパーと、本当に怖い「クラスタ」という存在

 前回仮面ライダーゼロワンとネット世界での暴走って通じるとこあるよね(知らんけど)って感想を書きました。

 第22話「ソレでもカレはやってない」。
 天津垓の策略により、アルト社長の変身にベルトに悪意をラーニングした旧人工衛星アークから作られたメタルクラスタホッパーというプログライズキーを装着されてしまう。

 変身の瞬間に衛星アークと繋がり、彼が見たのは無数の人間の悲鳴(断末魔の叫び)と赤黒い「死」「暗」「殺」「争」「亡」「恨」「邪」「痛」「憎」という文字に埋め尽くされた暗く赤黒い空間だった。
 その無数の文字に包まれ、銀色のバッタの群れに包まれたアルト社長はもだえ苦しみながら叫び、銀色のゼロワン「メタルクラスタホッパー」という姿に変身させられてしまった。

 ゼロワン メタルクラスタホッパーは微動だにせず表皮の装甲が剥がれるように無数の銀色の飛蝗を飛ばし、人間が変身した怪人レイダーの装甲を食い荒らして彼を倒し、今まで勝つことができなかった仮面ライダーサウザーこと天津垓さえも倒してしまうのだった。


 はい、メタルクラスタホッパーは方々で言われているように、仮面ライダーシリーズでは初めての「蝗害」をモチーフにした強化フォームとなっているようですね。
 実は平成仮面ライダーでバッタモチーフって片手で数えるくらいしかいないんですよね。さらに昭和ライダーでも平成ライダーでも「蝗害」モチーフはおそらく初めてなんじゃないでしょうか。スカイライダーも一応そうなのかな?

 私はこのメタルクラスタホッパーを見て何を思ったかというと、これってまさしく「ネット(人間の心)に渦巻く人間の悪意を形にしたもの」なんじゃないかって。

 クラスタという言葉は「集団」「群れ」という意味で、ネットスラングとしては「同じものが好きな集団」という意味があります。コミュニティとかファンに近いものですね。


 クラスタ…。うっ、トラウマが…。
 私は昔、ネットでのとあるクラスタに所属していたんですが、そこに所属していた人が「この○○って自分の友達がデザインしたんだって」という不用意な発言をしてしまってプロのアーティストを激怒させて、そのクラスタ内で言葉による血で血を洗う大きな内紛に発展したことがあるんですよね…。


 以前の記事でも言ったように、ネットでのやり取りだと相手の顔が見えないから、人間は容赦なく悪意や憎悪を他人に向けることができるのです。

 だからクラスタという存在には苦しくて悲しい思い出があるので、クラスタに所属するのが怖いというトラウマがあるのです。

 公式に関わる人たちからも良いグループだねと認められていてクラスタ内の仲もよかったからこそ人間の心っていうのは、この作品で大事なことを学んだとか、このキャラのように正しい人間になりたい、といった素敵なことを言っていた人たちでも「あの人は間違ってる!」「お前らは間違ってる!」簡単に憎悪に飲み込まれてしまうものなんだってあの当時心の底から痛感しました。
 不用意な発言をして騒動のきっかけを作った人が反省していたことを覚えています。

 某アニメの監督降板騒動の時も優しい世界や愛に溢れていると言われていた、ファンの人たちも憎悪に駆られていましたよね。
 気持ちは痛いほどわかるけどやめよう、と言葉を投げかけて止めようとしてもダメだった…。

 どちらの場合も、こうなると収拾がつかなくなり、止めようとしても止めることができなくなってしまうのです。

 「悪いことを悪い」と言うことは悪いことではないけども、その間違いを指摘するときの言い方っていうのもあると思います。
 特にどんなに言い分が正しくても寄ってたかって「それは違う」「お前は違う」と群れで攻撃してしまうこともある。


 だからこのメタルクラスタホッパーを見た時、いかに「人間の悪意が恐ろしい」ものか、「クラスタという存在がどんなに危ないもの」なのかを思い出しました。

 でも当たり前だけどクラスタは、悪い部分だけじゃないからね!良い部分もあるよ!


 人間って良い部分も悪い部分も含めて構成されていると思うんです。ただ、そのどちらかが偏ってしまっている人間ってのは絶対いるし、だからこそ自分の心が善いも悪いも、悪い意味で片方に傾いてしまったら自力で矯正する必要があるし、それができる。
 それがザイアの1000%社長(45歳)こと天津垓が言っていたことなんじゃないかなって。
 ヒューマギアは、いわゆる良心回路(ただ単に悪意をラーニングしてなかっただけだからこの表現は違うけど)というものがなかったからこそアークからの悪意(キカイダーで言うとギルの笛かな?)で暴走してしまうんだろう。

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