うちのボーカル

バンドメンバーが「うちのボーカル」って話してくれるのとても好きなんですよね。というお話。

オメでたい頭でなにより(以下:オメでた)、マキシマム ザ ホルモン2号店(以下:2号店)のキャーキャーうるさい方と女声(たまに普通に歌う)を兼任することになった赤飯さん。赤飯さんもツイートやブログでたくさん言葉にしてくれていたので、私もこの一連の流れを見ていていろんなことを思い返しました。

私が赤飯さんを知った頃はいわゆる「歌い手」として活動していて、ライブに行くと他の歌い手さんはボカロ曲を歌う人がほとんどだったけど、赤飯さんはボカロ以外にも自分の好きな歌、やりたいパフォーマンスができる曲をいろいろ聴かせてくれていました。その中でもホルモンは定番で、赤飯さんがライブで歌う率はかなり高め。私は赤飯さんを知るまで音楽への向き合い方が「狭く深く」だったので、ホルモンの曲も「赤飯さんがライブで歌う曲」という認識だったんです。でもそこで知るきっかけをもらって、原曲を辿って、好きな音楽の幅が広がった。洋楽もそうでした。知らなかった曲を好きなボーカリストが歌ってくれて、知るきっかけになって、というプラスのスパイラル。赤飯さんにはそういうきっかけをたくさんもらいました。

当時はオケで全パートを一人で歌うということもやっていたけど、先日の2号店初ステージでは同じオーディションを勝ち抜いたメンバーと共に、本店のメンバーが見守ってくれる中で公式バンドとしてステージを踏んで。ボーカルの声がかき消されてしまうくらいの熱気とオーディエンスの声。ステージにはどのように届いていたんだろう。どんな景色が見えていたんだろう。そんなことを思いながら、ラストのメガラバでは涙が止まらなかった。赤飯さんがMCで話してくれていた「俺達自身も思っている以上にいろんなことがあったし、いろんな想いを背負っているつもり。いろんな想いや感情が混ざって滲み出たものが2号店の味だ」という言葉。

赤飯さんが一人で活動していた頃、歌うことを辞めてしまうんじゃないかと思うほど辛そうな時期がありました。「歌に殺されそうになったことがある。でも自分には歌うことしかできないから」と涙を浮かべてステージで話してくれたこともあった。きっと表には書けないようなことにたくさん巻き込まれて、純粋に歌うことすらしんどいこともあったはず。そんな中でもずっと歌うことを辞めず、私達に届けてくれました。続けてきたから見えたものがあり、続けてきた人にしか見えない景色というものがあるはず。オメでたになってからの赤飯さんは「過去があるから今がある」と前を向いてくれているんです。過去を否定せず。私はそれが何よりも嬉しい。

2号店のオーディションをきっかけに、ホルモンの曲を一人で歌っていた赤飯さんの強みが存分に出せたと思うしまさにその積み重ねが実を結んだなんて、夢がありすぎる。2号店の赤飯って、あの歌い手の赤飯!?って驚いている方の声をたくさん目にしたんです。歌い手の赤飯さんは知っていたけどオメでたは知らなくて、そこをすっ飛ばして2号店で知る、というパターンもたくさんあるんですよね。これもきっかけ。赤飯さんのことは知らなかったけど2号店で知ってオメでたを知ってくれて好きになってくれたり。これもきっかけ。ここでもまた、たくさんの縁が繋がるかもしれない。

赤飯さんが2号店のメンバーに決定したときのオメでたのメンバーの反応も嬉しかった。対バンしようなー!って。自分のバンドのメンバーが温かく送り出してくれるの、愛されてるなー!きっとオメでたが「赤飯のやりたいことを具現化するバンド」として動き出してくれたときから、今まで赤飯さんが味わってきた悔しさや偏見、いろんなものを全部ひっくるめて手を差し伸べてくれて一緒に歩んでくれているメンバーだからこそだと。ビバラで2号店のライブがあった翌日には同じ場所でオメでたとしてのライブだったけど、ぽにきが「オメでたい頭でなにより本店です!」って流れを汲んだ一言をくれて、こういうオメでたならではの愛情溢れたネタが大好きです。2号店ポーズをダブルピースに変えて「今日はこっちで!」って笑っていた赤飯さんも。

オメでたの「ザ・レジスタンス」という曲にあるように、ここでは誰もお前の生き方を否定しないよ、という空気がたまらなく好きです。楽しめる場所を増やして好きが連なれば、幸せになる意思を持てる時間が増えると教えてもらいました。きちんと音楽通して今までやってきたことを認められて、2号店のライブを見ていてとても誇らしい気持ちになった。自分がずっと好きでいたことも肯定してもらえたような。歌で黙らせて、音で返す。最幸なんです、うちのボーカル!

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