【VRChat】全力で楽しむ猫 vol.5 カメラを全力で投げてみる
はじめに
「きょうのブイチャ」というタイトルで僕のXアカウントにその日のブイチャ、VRChatで遊んだ様子を毎日1クリップだけ投稿しているよ。
数週間に一度、毎日投稿では紹介しきれなかったクリップやオリジナル要素も交えて1つの映像として「きょうのブイチャ・まとめ」をYouTubeに公開しています。
今回はそのまとめ動画「【VRChat】全力で楽しむ猫 vol.5」から、2:23~のカメラを投げている表現に絞ってアイデアやプロセスについて紹介してみるね。
カメラを全力で投げるシーン
カメラを全力で投げるシーンはこれだよ。
アイデア
とにかくVRCのカメラを全力で投げてみたかった。日常だったら絶対できないことだし、ブイチャだからこそできる面白い表現になりそうだなって思ってました。
以前凧揚げしながら遊んでた時、凧にアクションカメラくくりつけて飛ばしてみたことがあるんだけど、付け方が悪かったのかグルングルンして全然使い物にならなかった記憶があるのね。そういう表現面白いからちょっと入れてみようって思ったのと、趣味でドローンも持ってるからドローンっぽい表現をもっと極めてみたいなっていう思いもありました。
↑ 全然関係ない方の動画だけれど、同じことしてる人の動画見つけたから貼ってみます。これは結構綺麗に撮れてるほう!面白いよね!
最近だとFPVドローンも増えてきたから、こういったアクロバティックなカメラワークも好きです。そんないろいろなものを混ぜこぜして1ショット撮ってみたいなって思ったのがきっかけ。
ツール
撮影はいつもと同じHppedeafさんのVRChat Camera Animation (CAHppe)。
ポリゴン表現をするためにPolygon Checker。
そして実は全天球カメラシステムも使用しています。詳しくは後でお話しするね。
編集・ポスプロにAdobe AfterEffects / Premiere Pro を使ってるよ。
プロセス
1,ロケーション
たまたまた見つけたワールドの世界観がとてもよくて、広大で高低差もあってアクロバティックなことするのに抜群だなって思ってたので、このロケーションは最初から決まっていました。
2,テスト撮影
音楽の尺も限られているから、今回もあらかじめテストで何度も撮りながらカメラの軌道やスピード感を決めていきました。
上のテスト映像見て何か気になったことないですか?
3,問題点
テスト撮影を何度も経て色々気になったことがいくつかありました。
1つ目は、カメラを投げた瞬間の表現をどうするか。上のテスト映像だと冒頭は結構スムーズだけど、実際はもっとグルングル荒ぶっている様子も出したい。カメラのパスを細かく描いても、なかなか思い通りのグルングルン感を出すのは難しかった。
2つ目は、映像をよく見ると遠くの木が距離によってカリング?(用語が合ってるかわからない…)されて出たり消えたりしちゃう。ここがすごく気になって、そのままだと満足な出来栄えにならないなぁと思って没になりかけてました。
4,ツールの導入
ある日フレンドとカメラに導入できるエフェクトみたいなツールないかなぁってお話しをしてた時、ティキレスさんにこんな面白いカメラツールあるよって紹介してもらったのが上でも書いた全天球カメラシステムだよ。
これは360度全ての風景が写せる特殊なカメラなんだけど、そのほかに180度の超ワイドな風景が写せたり、とても面白い表現ができるツール。
実際にこんなカメラを持っていて(RICOH THETAってやつ)、旅行や遊びでよく使ってました。だから360度映像の使い方とか遊び方はある程度心得ていたので、これがあれば上の問題点1つ目、グルングルンするカメラワーク作れるんじゃないかって思いつきました。
そしてその時同時にLukas Shibaさんがこんなツールあるよって見せてくれたもう一つが、Polygon Checker。厳密にはカメラのツールじゃないんだけれど、これをちょっと改良してカメラにくっ付ければ、面白い表現できるんじゃないかなって。
これをドローン表現に仕込んでカメラが飛んでる最中にパチパチ表現を切り替えれば、上の問題点2の木が出たり消えたりする現象も誤魔化せるし、なんならそういう「仮想世界」感がより強調されて面白いんじゃないかなって思いました。
同時に問題点2つとも解決できる日があってめちゃくちゃ刺激的だった。
5,本撮影
いろんな要素が組み合わさって、ツールの導入、下準備も整ったところで本撮影。
カメラワークで基本的にやりたいこととしては、
吊り橋の下を潜らせたい
木々の間をスレスレで通り抜けたい
自分の股の下をくぐらせる
っていう3つの要素は入れ込みたかったので、そこをクリアできる地形から逆算してカメラのパスを描きました。
シンプルに説明すると、このカットは4つのシーケンスを繋いで1カット風に見せてるよ。
上の4つを別々で撮って、後からいい感じに繋げました。
最初カメラ投げるっていう動作が唐突すぎるから、初めてみた人が置いてけぼりにならないように結構気を遣ったつもりだよ。実際はありえないんだけれど、カメラを放り投げた瞬間、自分の手がアーチを描いてスイングしている様子を少しだけ見えるように何度も何度も撮り直しました。
ほんの数フレーム程度だけど、あるのと無いのとでは断然違いがあると思ってます。
ぐるんぐるん回るところは、全天球カメラシステムをつかってシンプルにカメラを手にもちながら空飛んで撮影しました。
この360度映像をあとで加工して使用するよ。今思えば、このカメラもCamera Animation に連携させれば自分で持たなくてもよかったかも…。
その次に、上で導入したPolygon CheckerをONにして、同じ軌道で5回ほど素材を撮っておきます。
シンプルな1カットシーンのはずなのに、意外と細かくいろんな素材を一度に撮りきりました。
6,ポスプロ
上で撮影した素材をうまくつなげ、1カット風に見えるように調節していくよ。
カメラを手にもって投げる所とぐるんぐるん回るところは、画面に大きな変化のあるアクションシーンなので、別々の素材でもただ繋げるだけで意外とスムーズに見えたりします。
ぐるんぐるん回る映像は、360度で撮影した素材を AfterEffects に取り込んでVR用動画として編集していきます。わかりやすいチュートリアルが見つからなかったんだど、公式のガイドが一番わかりやすいから貼っておきます。
https://helpx.adobe.com/jp/after-effects/using/immersive-video-VR.html
基本的にはVR用動画としてコンポジションを作ってあげて、あとはAfterEffects上でカメラをまわしてあげると360度どの方向にも向ける映像が作れるっていうイメージ。
ただ、360度動画ってことはすべての範囲を移すわけで、自分も映っちゃう。だから自分の形だけロトスコープして色を塗って隠しました。
そして安定したドローンカットへの繋ぎは、ぐるんぐるんまわった後の余韻で瞬時にワイプさせて目立たないようにつなげてます。
ドローンカットは撮影した4種類の風景を、AfterEfectsでぱちぱちと切り替えます。なるべく風景の木々が出たり消えたりする瞬間を狙いつつ、違和感ないところでぱちぱちさせたつもりです。ちょっと大げさすぎた…?
また、後半ドローンが切り返すところでカメラが一瞬空を映すんだけど、そこも少し印象的にしたかったから手を加えた。
具体的には太陽にフレアを追加しつつ、空に鳥の群れを追加してるよ。このワールドにはそれぞれどちらも無いエフェクトなんだけれど、鳥に関しては別ワールドで撮影したものを使っちゃいました。
この二つ入れることで印象的な場面になった気がしてます。
最後に自分の股の間を潜り抜けた後、くるっとカメラが回転するような動きでカメラをつなぎ合わせて完成です。
スムーズな1カットのシーンだけど、合計12つ前後の映像から仕上がってるよ。意外と多い!
仕上がり
仕上がりはこんな感じ。いろいろ苦労したけど、うまくいった気がする!
さいごに
大胆なアイデアだったけれど、なるべくあきらめずにいろいろやってみることで解決策とか見えてくるんだなって気が付きました。自分の知識だけじゃどうにもならないところを助けてもらったり、アイデアのきっかけになったりと、めちゃくちゃ刺激的だった気がする!
こういったトリッキーなことすごく好きなので、もっといろいろやってみたいなって思えるようになりました。
最後まで読んでくれてありがとう。参考になればうれしいです。
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