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嗚呼素晴らしき日本の教育

仕事中の話。終点まで電車を運転し、折り返し運転をする為に降車確認していると一人の女の子が近付いてきた。
パッと見た感じ小学二〜三年生、夏休みなので学童の帰りっぽい雰囲気。

手に何か持っており、不安そうにこちらを見上げている。
こういう時はほぼ確実に「お忘れ物の届け出」だ。

余談だが、自分よりも大きなランドセルを揺らしながら駆け寄ってくる小学生の可愛さったらない。
それでいて寄ってたかって近づいてきたと思うと手に持っているのは一円玉だったりするから可笑しくて笑ってしまう。



いつものパターンなら「これおちてました!」か「わすれもの!」と言って渡してくれるのだが今回は違った。私は自分の耳を疑った。

「ほしい?」








?????


この子は今何と言ったんだ??
干し飯???

いや小学校低学年の子がいきなり初対面のおじさんに「ほしいい」なんか言うわけがない。
落ち着こう。
今この子は何と話しかけてきたのか。

動揺を悟られないよう、冷静に聞き返す。

「これ、どうしたのかな?」

マスク越しだが笑顔と分かる表情で聞いてみた。

すると少しウンザリした態度で
「だから、これ、欲しい?」
と繰り返す。
手に持っていたのは可愛いキャラクター缶バッジを紐に結びつけた髪留めのような物だった。
伸縮性も無さそうなので髪留めにも向いていないと言える。





完全に虚を衝かれた。

青天の霹靂、藪から棒。


この子は本気で私がこれを欲しがると思って聞いているのだろうか。ただの冷やかしなのか。
というか小学生に冷やかされる30代ってどうなんだろうか。


しかし正直に申し上げると要るワケがない。
というかコレは何なのか、使い方も皆目検討がつかないんだが。
断ろうと思って「あーー、いらな…」とまで口にする。


いやでも、もしかしたらこの子が作った物なのかもしれない。

そして好きな男の子にあげようと思っていたら「いらない」と突き返されて傷心中なのかもしれない。

これはあれだ。ドラマとかでよくある
【本命の男に断られて処分に困ったプレゼントを男友達にあげるヤツ】
だ。
貰った男はその子に片思いをしていて余計苦しくなるヤツだ。

途端にこの子が可哀想になってきて気づいたら

「貰おうかな、ありがとう!」と口にしていた。

すると女の子は笑顔になって
「他の女の人とかにあげてもいいよ〜!」

と言って走り去っていった。 

貰ったものを胸ポケットにしまい、その日は仕事を終えたのだが、夜寝る前に考え直してみると

  • 女の人とのデートにプレゼント一つ持っていかない男だと思われていた

  • 他の女の人とかにあげても良いという事は男にあげることも想定している

  • そして私の恋愛対象が男性という可能性も残してあんな言い方をしてくれた



となったので
最近のLGBTQに関する小学校の教育は進んでいるなぁと実感しながら眠ったのだった


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