見出し画像

ディテールと構造設計

先日、福井の年縞博物館に旅行で行ってきました。
今回の記事は、ディテールの魅せ方は構造設計の腕の見せどころだなぁというお話です。

福井年縞博物館

福井県にある年縞博物館。
年縞とはなんぞやというと…

「長い年月の間に湖沼などに堆積した層が描く特徴的な縞模様の湖底堆積物」のこと

http://varve-museum.pref.fukui.lg.jp/about

だそうです。
この湖底堆積物を、薄く切り出して、蒔絵のように壁に展示してあるのがこの博物館。
意匠設計は内藤廣建築設計事務所、構造設計は金箱構造設計事務所です。

構造計画のこと

この建物、1階はスパンの大きなRC造ピロティ、2階は鉄骨造+木造(切妻屋根)になっています。
感動したのは、鉄骨が華奢で接合部の納まりがとてもスッキリしていることです。(多雪地域なのに…!!)
どうしてこんなに鉄骨がスマートな断面なのか…と疑問だったのですが、2階の地震力は、全て展示室の1枚のRC壁で受けており、鉄骨は常時荷重を受けるだけとのこと。(帰ってきてから調べて、なるほど!となりました)

その展示室のRC壁が、メインの年縞を展示するための壁にもなっているという、とても合理的かつ建物を象徴する壁であることに感動しました。

ディテールのこと

さて、現地で一番感動したのは、鉄骨の納まりです。
上のリンクから内観写真を見てもらえばわかるかと思いますが、複雑な3次元トラスで屋根を支えています。
感動したのは…

その1本1本の部材が、細い。スマート。そして、それらが集まる接合部がスッキリしている!

構造部材が細いというのは、その部材が負担する力が小さい、ということに直結します。
負担する力が大きいと、部材断面は大きくなり、端部接合部のボルト本数もどんどん増えていく。
負担する力が小さいからこそ、いくつもの部材が集まる接合部のボルト本数も少なく、スッキリとした接合部になります。

ディテールから構造計画が決まることもある

年縞博物館の構造計画の進み方がどうかは分からないですが、可能性として

屋根を支える部材のディテール(見せ方)こだわる
   ↓
そのために、鉄骨に地震力を負担させない
   ↓
RC壁と鉄骨で、明確に負担する力の区分けをする

と考えるルートもあるなぁと思います。

今回、金箱さんのディテールに感動し、テンションが上がってこの本を速攻で注文しました。

各構造形式の納まりが、解説付きでたくさん載っています。
こんな素敵な接合部になるかは自信はないですが…読むと「構造の見せ方にこだわろう!!」と元気が出ます笑


おまけ

先日の娘のテンションダウンが落ち着き、元気になりました!
(子どもって不思議…)

今設計している建物で、鉄骨が吹抜け部でドーンと見えるところがあるのですが、使う人から見えないところで、いかに接合部を作るかに苦心しています。もしくは、見えたとしてもスマートな感じにするか…

細かいことですが、ディテールにこだわって設計するのは楽しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?