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新しい世界…業界人悩むやつな。

仕事が差し迫ってる時ほどなぜか本とか読みたくなる病気💦

ということで課題図書こちら

この本はサクッと読めるけど、かなり味わい深い。
なぜなら、我々の業界にとって、まさにこれからの時代の価値観を再構築しなければならないのではないかと感じるからだ。

貯信時代という悩み

西野さん的には、これからは信用さえあればいくらでもお金は引き出せるという理論。
これすごくわかる。
職業柄お金の悩みを持つ人に出会う機会がめちゃくちゃ多いのだけど、お金もらわなくても助けたい人もいれば、どんだけもらっても関わりたくない人もいる。
(まあ、なんだかんだとどっちも関わるけど…)

お金がなくても関わりたい人は、親切に相談に乗ると必ずと言っていいほど次の仕事を持ってきてくれる。
この循環だけで、ホームページすらない、場所すら公表してない怪しげな税理士事務所で10年近く続けてこられた。
ありがたいことに売上は私の意図に関わらず年々伸びている。

『この人と関わりたい!』と思う人もまたすごく信用がある人ばかりだから、やっぱり自分もなにか出来ることがあれば簡単にお金も時間も差出せるから、そこで換金が成り立つわけ。

私の周りには、『ファラオの格好でなんでも仕事を受けてくれるパリピ』という謎なプロファイルの人物がいるが、もともとの育ちがいい彼はすごく礼儀正しいし、何事も一生懸命。
だから、彼がひとたび『イベントやるよ』と声をかければたくさんの人が集まり、そこで交わされる会話は『ファラオをどうやって売り込むか?』
その場のノリでFacebookで繋がった方々は後々よく見ると会社経営者だったり、政治家だったりするからびっくりだ。彼はすでに信用を手にしているわけ。

会計とはすべての事象を貨幣価値で表すもの

ところで、これまでの価値基準はお金だ。
これは、信用が価値を持ったところですぐに変わる問題ではない。
会計は利害関係者それぞれにとってのメリット、デメリットを事前に予測してもらうためのツールと捉えた場合、この貯信時代とのギャップがどんどん生まれるのではないか?と思う。なぜか。

貨幣単位で表せないものは会計の概念からは除外される。

問題はここ。
これ、すでに昔から問題となっている。
たとえばM&A。
企業買収だ。
買収にあたり、企業の価値を見積もるデューデリジェンスという作業があるのだけど、基本的な考え方は会社の持っている『資産と負債』の時価による価値を見積もりそれがまずはベース。
そこに、超過収益力(すなわち、この会社を買ったらどれだけ将来収益を生んでくれるのか?自社の事業とのシナジーはどの程度生まれるのか?)を算定し『色をつける』作業。

この超過収益力のことを『のれん』という。
小料理屋さんの入り口にぶら下がってるあれ。
古いのれんを掲げてる店ほど、営業年数が長く、そののれんの汚れこそがその店を訪れた沢山のお客さんが生み出した『信用』というわけだ。

翻って現代においても『ブランド名』『ロゴ』『イメージ』『キャッチコピー』など企業の信用を表す抽象的な概念。
これを貨幣価値で表さないと会計にならないのだ。

これにいくら払いたいかは自由。
個人と個人なら『私1億だったら買いたいな』『マジで?1億もくれるの?オッケー』で交渉成立。価値観なんて人それぞれだし。

株式会社は当事者だけじゃ決められない理由

ところが大きな会社になればなるほど、これは通じない。『利害関係者』という人たちがたくさんいるからだ。
株主だったら『なにそんな勝手に安い値段で売ってんだよ!俺らの取り分減るだろう?』だし、銀行さんにしたら『貸した金回収できなかったらどう責任取ってくれるんだ?』というわけ。

目に見えないものをみんなが納得いくように貨幣価値で捉えるのはものすごく頭を悩ませる作業で、最近の会計基準はお金の動きじゃないものを財務諸表に反映させるから、もはやその会社の実態がわからなくなってしまったとか言われる始末(これ、実際授業で言ってました💦)

信用の貯金を開示できる方法はあるのか?

ベンチャー投資を行うファンドの人に話を聞くと年間20件とか投資して1件上場できたら上出来、いや、もっと低い確率かもしれないという世界らしい。
これも貨幣の世界では難しい。
投資価値を算定する指標として、Burn Rate (資本燃焼率)というのを用いるそうで、これは『1カ月あたりいくらの資金が必要になるか?』という指標。これが100万円なら年間1200万円必要になり、3年間で収益が回収できる事業計画なら3600万以上投資すれば軌道に乗せられるねって感じ。

とはいえ、誰もが見たことない革新的な事業に対して、どうやって価値を見積もるのか?これ、ほんとに難しい。経費がかからず割安だったとしても年数がかかりすぎて回収できなくなる可能性だってある。
そして、最終的な判断は、その社長のこれまでの経歴、人間性、つまり最後は『どこまでこの人を信用できるのか?』しか答えはないそうだ。
でも、これって可視化できないんだよね。結局。

西野さんの見つけた答え

新世界のなかでは、同じような問い『信用はできるけど知名度がない』人であってもその信用度が計測できる装置として『レターポット』というものを発明した。

正直、これあんまり使い方わかってなかったんだけど、仕組みがわかると『なるほどな』と納得。一文字いくらで送れるというレターは、感謝の気持ちに対し、相手がどれだけコストをかけているのかが共通ルールとしてあるから、もらった文章の文字数によってそれが伝わる。書かれた文章を見ればどれだけの時間を割いてくれたのかも一目瞭然だ。これはすごい画期的。

会計はこの先どうなるのだろう?

会計そのものは今、転換期を迎えている。
日本独自の基準で動いていたものが、海外の基準に飲み込まれようとしている。
もう、投資先は自国だけじゃないし、だったら世界基準ないとダメだよね、というわけ。

でも、未だに信用をどう反映したらいいのかわからない。
たしかに簿記は尺度を図るツールとして世紀の大発明だったと思う。いまだにこれを超えるツールは見当たらないわけだから。

でも、これからの世界は果たして『貨幣価値』ってそんなに重要なんだろうか?と考えさせられる。ホームレスでも幸せで、大手企業に勤めても死にたくなるほど辛いんじゃ、なんのために生きてるんだろう?

そんな新しい世界になっていくことだけはわかった。実感としても十分納得できる内容だった。でも、どうなるのかまったく想像できない。もしかしたら、価値の見積もり方を考える仕事なんてそもそもいらないねってなるのかな?
とはいえ、私の専門は税金だから見積もれないと税金計算できないんだよね。
悩ましい話。でも、考えれば考えるほどおもしろい話なんだろうな。そのうち西野さんやサロンのひとが答えを見つけてくれるかな?w

#新世界 #西野亮廣 #会計基準


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