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神様だった魔法使い【フィガロについての解釈】

何日か前に「ブログ始めてみようかな」と言ったんですけど、自分の解釈を自分で整理するためにも、noteのアカウントを作ってみたりしました。

解釈の垂れ流しになると思いますが、よかったら覗いていってください。

※ネタバレや個人の妄想・願望も多く含まれます。できる限り公式情報は拾っているつもりですが全て網羅できていない場合もあります。公式との齟齬がある場合はマシュマロなどでこっそり教えてくださると嬉しいです。マシュマロはこちら

神様だった孤独で優しい魔法使い

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せっかくなのでフィガロの話から始めていこうかなと思います。何を隠そう、私はフィガロが好きです。いや、好きというよりは『どうにかしたい』という思いの方が強いです。可愛いなって思う時もあるんですが、それ以上に、どうしたら幸せになってくれるんだろうって考えちゃいます。

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生まれた時から神様として崇め奉られ、そうして神様として暮らした故郷の村は雪崩により一瞬で消え去り、一人で世界を放浪していた時に双子に拾われて弟子となります。双子はその後子供のオズも拾って来たためフィガロには弟弟子ができました。その後十分に魔力が成熟した後は双子とオズとフィガロは一緒にいたとは限りません。各々、ひとりの時間を楽しんだり人間を庇護していたりしていたのでしょう。

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ある時フィガロとオズは世界征服を始めます。オズは世界が思い通りになれば全てのしがらみは消えるのではないかと思ったから、フィガロは世界征服がオズの生きる目標になるならいいかもしれないと思ったから。しかし、世界を征服し始めてもしがらみは増えるばかり。そうして二人で半分ほど世界を征服した時、なんと双子の片割れであるホワイトが死んでしまいます。オズはやる気をなくし、世界征服は中途半端に終わりを告げました。

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そんなフィガロの元に若い魔法使いがやってきます。中央の英雄、ファウストです。人間と魔法使いが手を取り合っていく世界を目指していた彼は、「世界を良くするために魔法を教えてください」とフィガロに頼んだのです。フィガロは気を良くしてファウストを弟子に取り、一年間預かって彼のことを育ててやります。彼と共に歩む未来が天命だ、と思えた時もあったのにフィガロはファウストとアレクの絆や革命への熱意を見て、自分はお客さまだったのだと知り一人で戦線離脱してしまいました。

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その後フィガロは南の国の開拓を始めました。人間と魔法使いが仲良く暮らす世界を目指して。人間に、「魔法使いの中にはいい魔法使いだっている」ということを見せるために、双子と共に盗賊であるブラッドリーを逮捕したこともありました。また失踪したファウストを探し疲れ果てていたレノックスに羊飼いの職を斡旋しました。

その後、フィガロの旧友でもある北の魔女チレッタが南の国の人間と恋に落ち、南の国で暮らし始めます。彼女は二人の息子を命懸けで産み死んでしまいました。ルチルとミチル、二人はフィガロの元で魔法を学んでいますが。ミチルは双子から「南の国の魔法使いを全滅させる」という予言を告げられている子供です。フィガロはミチルにあえて言いにくい呪文を与えたり強い魔法を教えなかったりと彼のことを抑制しようとしています。

そしていつ頃かの明記はありませんが、彼は自分の寿命について知ることとなります。

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彼が賢者の魔法使いとして選ばれたのは、そういうタイミングです。

こうやってつらつら書いただけでもフィガロの顔の広さがわかるな、と改めて感じました。これ以外にもシャイロックのバーでのやりとりや、アーサーの面倒を見てやったりとか、数え切れないくらいの人脈を彼は持っています。ですが彼は孤独なんです。少なくともフィガロ自身は、自分のことを孤独だと思っている。この場合何を孤独とするか、という定義の問題になると思うのですが、フィガロは「誰かと心からつながりあうこと」を『愛』だと定義しています。そして、それにそぐわないものは孤独であると定義しています。加えて彼は、誰かの望みと自分の望みが重なることを手に入れたいと願っている。そのためフィガロは孤独を「寂しい」という感情で捉えていると思います。愛を持っている者を羨んでいると言った方が正しいかも。

比較のために(自分の整理のために書かせてください)、ファウストは孤独を寂しいとは思っていません。孤独な時間は自分を見つめ直す時間にもなるし、穏やかだとすら思っているかもしれない。そして彼は誰かと心からつながりあうことに重きを置いておらず、愛についてもそんな深くは考えたことがない。自然に人を愛することが上手なんです。そして恐ろしいほどに愛される、人を惹きつける才能も持っている。これはまたファウストのことを書いた時にでも話したいです。

どうしてここまでフィガロが『愛』を求めているのか、それは幼少期に神様にされていたことが大きいと感じています。小さな子供の頃から人間を庇護する役目を押し付けられた彼は子供として振る舞うことができなかった。わがままも言えず、親からの無償の愛も受け取れない。なのに彼は村の人々を愛さねばならなかった。彼は「演じる」ことに長けている魔法使いだと思っていますが、それも全部この幼少期からの癖、みたいな部分もあるのではないかと思います。

同時に彼は自分が捨てられることを酷く嫌います。「相手のことを思って引き止めなかった」と彼は言いますが、「楽しいからもう少し続けたいと言ったら嫌われるかもしれない」「待ってと言ったら正面切って捨てられるかもしれない」という思いが根底にはあるんじゃないかなと思います。そして彼は聡明なので、自分のその奥底の想いに気がついている。気が付いているけれど、どうしようもできない。

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捨てられたことに対してどうしてここまで嫌うのか、捨てられることを避けるのか。それはムーンロードのトラウマではないかと思います。

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ムーンロードはフィガロが望んだのに、必死に手を伸ばしたのに、届かなかったものです。会いたかった人に会えなかった、見捨てられた。欲しいと思ったものを追いかけても、手に入らないとこんなにも虚しいのだと、彼は理解してしまったのではないでしょうか。だからそう言ったことを避けようとする。

フィガロは自分自身で自分の居場所を作るのがとても下手くそです。用意された「神様」という枠、「偉大なる大魔法使い」という枠、「南の国のお医者さん魔法使い」という枠。それらがないと自分を支えられません。中央の子達はそれが上手ですね。自分のやりたいこと、役割を見つけてそれに生きがいを見出すのが得意。フィガロも自分の役割を把握するのは得意ですが、それは「自分が何をするのがベストか」と考えているからであり、やりたいからとか情熱を感じたからとかではありません。自分がどういう行動をとったらベストパフォーマンスができるかを考えて動いています。

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そして彼は感情に疎い。感動するよりも前に計算し、傷つくよりも前にリスク管理をする。効率化、最適ルートの探索を考えるのが得意故の欠点というか、欠けてしまったところかと思います。こういうところ、現代社会にも似てると思ってるんですよね。現代社会も利便性を追い求めていく傾向にありますから、こういった心は置いてけぼりになってしまっていることが多いのではないでしょうか。シャイロックはこう言ったことが嫌いですね。彼は感情が豊かで、ありのままの不便さを愛することが好きですから。ちなみに現代に生きる私自身はかなりフィガロに似ているところがあると思っていて、感情移入してしまうことが多いです。私もひとりぼっちは寂しいので。だからこそあのひまわりのファウストの態度がめちゃくちゃに刺さって大変でした。

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そして、フィガロはふざけていたことにすることで(自分の心に嘘をつくことで)自分の心を守ろうとします。例えばの話でファウストの話を持ち出させていただきますが、フィガロは元々ファウストと共に行きたかった。しかしそれはどうも上手くいかないらしい、天命と感じたのは勘違いだった。でもファウストに捨てられるくらいなら自分からいなくなった方がいいと思い戦線離脱する。ここで、「ファウストに捨てられるより自分でいなくなった方がマシ」ではあるけれどショックを受けないことはありません。ですから、そのことを「俺がいなくても革命は成功すると思ったんだよね」という言葉で綺麗にしてしまうのです。

つらつらと書きながら、フィガロ、こんなメンタルでよく2000年も生きているな……と思ってしまったんですが、彼はとてつもなく頭が良いんですよね。知識も豊富で回転も速い。そして何事に対しても器用である。……そのことが、彼を生かしてしまったんだろうなと思います。
しかしそんな彼にも弱みがあります。優しいことです。好き勝手世界征服とかしていた時期もあるんですが、彼は基本的に優しい人だと思っています。ただ、それよりも人の心が(感情が)わからない故のサイコパス言動の方が印象に残ってしまうので怖くてやばいやつになってしまうのですが、彼は双子の言葉を聞き入れてオズのことを石にはせず率先して面倒を見たり、アーサーのことも石にせず可愛がっていたり、ミチルのことも石にできず魔法を教えたりしているじゃないですか。本当はリスクの面から言えば先に石にしておいた方が絶対いいんですよ。フィガロもそう思ってる。けれどもそれができないのは、愛着を抱いてしまうからなのではないかなと思っています。本人はそれが愛着とは気が付いていないと思いますが。
ミチルに対しては顕著に葛藤していますよね、フィガロ。南の国の魔法使いを全滅させたくないというリスク面と、ミチルが好きだと言ってくれる(ミチルが居場所を作ってくれる)自分の感情面と。優しさが無ければもっと即断的に効率的な手を打てるのに、それができない。でもそれはわかりづらいものだと思っていて。オズがアーサーに向けるような愛や、ルチルがミスラに抱く尊敬などとは違って、目に見えづらいのです。なぜなら、フィガロの中で自己完結してしまって見えるから。

以前都志見先生のインタビューで「フィガロは何かを愛する情熱を知って死にたいと思っている」とありました。それを彼が得るためには、誰かがフィガロに対して情熱を提供してあげるのではなく、フィガロの臆病な思考を変化させてやる必要があります。でもそれが難しい。フィガロは叡智を持つ魔法使いだからです。彼の叡智を超えるようなレベルの何か、または全く違ったベクトルによって彼の心を変容させなければなりません。
正直ファウストとの出会いはその一つだったのではないかと思います。今まで出会ったことのないタイプの魔法使いファウストに対し、フィガロは観察や計算により解読するのではなく、「天命だ」と思うくらいには心で繋がりたいと思っていたので。ルチルとかもそうかもしれません。「いくらでも付き合いますよ、フィガロ先生の遊び!」の台詞の時のフィガロの顔。ああいう、心を動かす予想外の何かが、必要なんだろうなって思います。フィガロ、幸せになってほしい。

フィガロのことだけで4000字話してたらしいです。これが多いか少ないかはあんまりわかんないんですけど、多分話し足りないこともいっぱいあるので、思い出したら追記します。
キャラクターごとの話に加えてイベントの話はイベントごとで書きたいなと思ってます。もうすぐかえるもひまわりも一周年になっちゃいますが(かえるはもしかしてもう過ぎてる?)、そこら辺も書きたいです。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました!

※2023年7月17日追記
メインストーリー2章を読んで、新しい記事を書きました。よろしければこちらもお読みいただけると嬉しいです!


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