マガジンのカバー画像

イケメン世話係と偽物姫な私

32
運営しているクリエイター

2020年3月の記事一覧

引かれた引き金

「今度はお父様を入れて、家族三人で食事をしたいな」  言った後、私はしまった、と思った。…

月宮明理
4年前
1

フローラさんとの初対面

 食事を終えた昼下がり、シグルドに案内されてやってきたのは、城から少し離れたところにある…

月宮明理
4年前
1

お世話係は規格外

 瞼を閉じていても感じる眩しさに、まだ目覚め切らない頭で朝が来たのだと理解した。そこで小…

月宮明理
4年前
4

夢の中でのお願い

 いろいろあったせいか、その夜、眠りに落ちるのは一瞬だった。  自分が今眠っていると理解…

月宮明理
4年前
1

お父様との初対面

 部屋を出ると、何人かの兵士の方たちが私に注目した。それがなんだか気恥かしい。  見られ…

月宮明理
4年前
3

私にドレスは着られない

 廊下に出ようとして初めて、私は今の自分の服装に気付いた。  元の世界では着たことのない…

月宮明理
4年前
2

思わぬ私の役どころ

 考えてみれば、この世界に来て初めて見る人間だ。この世界にはちゃんと、人間が存在している。そんな当たり前のことが、私を安心させてくれた。  一人じゃないということが、こんなにも心の安定につながるなんて思ってもみなかった。  けれどすぐに、そうじゃない、と考え直す。 もしかしたら、人間であることよりも彼の纏う雰囲気が今の私には必要だったのかもしれない。  やさしく見守ってくれるような……温かい眼差し。色は深い海を連想させるのに、どうしてだか温かみを感じさせる。  右も左もわから

目覚めた先は知らない場所で

「うぅ……」  靄《もや》がかかったような、酷く気分の悪い目覚めだった。  体全体をフワ…

月宮明理
4年前
3

私と本と魔法使い

 当たり前の日常。それは意識するまでもない平凡な毎日を指している。  そして今日も当たり…

月宮明理
4年前
3