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「見てれば分かるっての。あいつが姿を消してから元気なかったしな……。なぁヒメカ、俺じゃダ…
シグルドが私の前から姿を消して数週間。探してもその行方を掴めずにいた。まぁ、掴まれても…
「冗談……ですよね?」 「そんな風に見える?」 「……いいえ。しかしそれなら、どうしてルカ…
「良いですよ、僕は。……ですが残念ですね、昔から見てきた貴女がこんなふしだらな女性になっ…
もうすでに日付が変わっていた。いつもなら、すでに寝ているであろう時間だ。 私は申し訳…
ルカ王子に抱きしめられてひとしきり泣いた私は、ルカ王子を見送った後、厨房へと向かった。…
シグルドに思われているどこかの馬鹿について考えていると、時間は驚くほど早く過ぎていった。 数十分したのち、シグルドが部屋に戻ってきた。その表情はかなり暗くひきつっている。 「どうしたの? 何かあったの?」 「落ち着いて、聞いてくださいね」 シグルドは平坦な口調でそう言った。 「国王様が、何者かの手によって――暗殺されました」 何を言っているのか全く理解できなかった。 暗殺……? 「ど……ゆうこと……?」 感情が、理解することを拒んでいた。 違う。本当
眠りに着くと、初めてこの世界に来た日の夜と同じことが起こった。 〈姫香、姫香……〉 …
「こちらです」 そう言ってシグルドが立ち止ったのは、廊下の端っこ――角部屋の前だった。…
「なっ……!」 艶のある言い方と言葉にうろたえて、顔に熱が集中した。しかし、まったくそ…
「ヒメカ様のようになりたかったからです」 「えっ?」 想像していなかった展開に、驚きの…
そこに立っていたのは王子様だけではなかった。いや、この表現は適切じゃなくて、立っていた…
三日後。 足の怪我はだいぶ良くなっていた。腫れは引き、普通にしていれば痛みも感じない…
お城の医務室で怪我の手当てを受けた後、自室に戻りドレスに着替えた。 魔法使いさんにお願いしたおかげで、部屋のドレスはすべてファスナーで着脱できるように変わっている。おかげで、今は一人で着替えを済ませることができるのだ。 「おまたせ。はい、これ」 ドアの外で待っていたシグルドに、汚れた騎士服を手渡した。シグルドがバレないようにこっそり返しておいてくれるそうだ。 「本当に……何から何までごめんね」 「いいえ、これくらい構いませんよ。それよりも、二度と勝手にいなくなった