Xday

2020/〇〇/▲▲
それは突然やって来た。

シャブを最期に打った日から4日目の朝。
鉛のようにずっしり重たい身体を引きずりながら住処の駐車場へ
「ん!?見慣れぬ感じのミニバン?そこのスペースは〇〇さんだけど色が違うな?代車かな?」
なんて思った瞬間
ドカドカと男ばかり5人に囲まれた


「■■県警やけど、たかまるさんか?」
めっちゃ遠くからわざわざ…■■ならあの売人
「はい、そうです…」
「なんで来たかわかるよな?」
「シャブですか…?」
「正解!来ると思ってたんやろ?」
「…はぁ……」

実のところなんとなく予想はしてた。私が買っていた売人と連絡が取れなくなって2ヶ月半程経っていた‥
この2週間前までは警戒して無所持無使用だったのだけれど…もう無いかな?などと思っていたところだった。

「ここじゃなんだから部屋の方行こうや」
と言うので場所は自宅玄関前へ

移動中ポケットの中で携帯初期化を試みるが失敗…
ロック解除に連続5回失敗すると初期化されるように設定しておいたのだが間抜けなおっさんは自宅では携帯はロックが掛からない設定(スマートロック)にしてあった‥

玄関前で持ち物全部取られて
「〇〇(売人の名前)知ってるな?アイツ全部吐きよったわ。んで、最期に打ったんいつなん?」
「金曜の夜かな?4日前です」
寝起きと切れ目で頭回らないし、今更隠したとこで小便から出るし逃げようがないので全部正直に話したほうが楽思った。
「今、有るん?有るなら出してや。」
「道具(注射器)しかないです。」
「これガサ状な。今から入るからな。」
仕方ないとはいえ自分の生活空間を赤の他人である刑事たちに見られるのは恥ずい
「道具どこに有るん?」
「ここです。」
「は?新品かよ?まあええかわ。写真撮るから指差して。」
その後何枚か写真を撮ってガサはあっさり終わった。時間にして10分も掛からなかった気がする。

「んじゃ車もな。」
初めて知ったのだか車も家宅捜索の一部らしい。
どうせなにも出てこないから問題ない。
車の中は隠そうと思えば隠す場所は沢山有ると思うのだかそんなに細かくは見ないのね。パネルの裏とかサンルーフの隙間とかスペアタイヤの下とか…
とにかくあっという間に終わった。5分程度だったんじゃないかと思う。

その後は刑事達が乗ってきた車に乗せられて
逮捕状見せられ

「あなたを覚醒剤取締法の譲受で逮捕します。」

手錠が掛けられた。おまけで腰縄も掛けられた。
全てが消えた瞬間だった。
そして手錠はユルユルにかけるものだということを初めて知った。