見出し画像

最近の関心「思考発話法はゲーム配信?」

 卒業研究の一環で思考発話法をする予定なのだが、「どのように行なわれているのか」、「被験者への説明方法」を知りたくて調べていると、以下の動画を見つけた。


 どうやらゲーム配信では思考発話法を使うらしい。これは参考になるかもしれないと、人生初のゲーム配信を視聴した(こんな形で観ると思っていなかった)。

ゲーム配信をエスノメソドロジーで分析

上の「【思考発話法×アイトラッキング】・・・配信」の12:30〜12:35を簡単にだが、エスノメソドロジーを参考に分析していく。
「」会話、<>行動
01 <左方向に走る>
02「一回左を向いて」
03 「一回左を出すフリした」
04 <蹴る動作をする>
05「これヤバい」
06 <後ろに向かって走り出す>
07 「キーパーがいない」

 観てみると、なぜこれを思考発話法と呼んでいるかが納得できた。ゲーム配信では視聴者に「なぜそのような行動を取ったのか」が詳しく説明されている。たしかに、01の動作については配信者が囮として行なっている行動だが、それを説明しないと視聴者の多くはなぜこの動きをしているのかがわかりづらい。

上手な配信者=思考発話が上手?

 ゲーム配信が思考発話に近しいのなら、人気なゲーム配信者は思考発話が上手ではないかと思い人気なゲーム配信者を調べてみた。
 どうやら「キヨ。」という人が人気らしい、なんか、名前は聞いたことある。さっそく観てみた。

32:33〜33:00
「」会話、<>行動、↑上昇調、.無言
01 「椅子。」
02 <椅子に近づく>
03「この椅子なに↑」
04「さっきからあるけど」
05「まって↑」
06<アングルを上げ、後ろに下がる>
07「ごめん」
08<後ろに下がる>
09<止まる>
10「キヨ。ちょっと意味わかんないって思うかもしんないけど」
11「このプールの中にある椅子だったら.座れます」
12「なんなんだろうね この違い↑」
13「これがプールの中じゃなくて」
14<アングルを後ろに向ける>
15「ああゆう上にあったら」
16<アングルを少し右に向けて、螺旋状の物体を中央にする>
17「なにこれ めちゃくちゃ面白そうじゃん」 

 初めに分析した動画はゲームが流れていくため、思考を言う暇がないとは思うが、1つのことに対する発言量がとても多いと思った。例えば、01,03,04は椅子があることに対して3文も話している。また、16について、14のアングル的にそれが視界に入っているのでそのまま螺旋状の文体について17のように発言しても伝わるが、わざわざアングルを変えて今何について話しているかわかるようにしている。この視聴者に向けてわかりやすいように丁寧に教えていく様は、UXリサーチの師弟関係における師匠そのものだ。
 しかし、この発言は本当に思ったことや説明のためだけでなく、盛り上げるために発した言葉も含まると思う。だが、思考発話法においてはその人が対象から感じることをいかに多く得るかが重要であるため(間違っているかもしれない)ゲーム配信は大変参考になると考えた。

まとめ

 ゲーム配信者は視聴者に、「自身がなぜそのような行動を取ったのか」、「今何について話しているのか」を「そこまで言わなくてもわかるよ」というレベルのことまで発言している、つまり、師匠のように丁寧に教えていたシーンが多々あった。そして上手いゲーム配信者ほど、発話量が多く、説明が丁寧であった。そしてそれは思考発話法で被験者に成ってもらいたい状態であるため、「思考発話法はゲーム配信者のように振る舞うこと」という表現は適していると考える。
 したがって、ゲーム配信を知っている人に思考発話法を説明する際には「ゲーム配信みたいな感じで」と説明するとより多く思考を発してくれると考える。
 今後は、卒業研究の一環で思考発話法に取り組む際に活用し、ゲーム配信を知っている人にこの方法で伝えた場合と、ゲーム配信を知らない人にこの方法で伝えなかった場合の発話量の差を比較することで、この有効性を明らかにしたい、と考える。

追記
 この記事のトップ画像をAIに描いてもらうときに、PCの画面に白い椅子を表示するよう何度も頼んだが聞き入れてはくれなかった….。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?