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人形浄瑠璃五月文楽公演Bプロ

シアター1010での五月文楽公演は「ひらがな盛衰記」の半通し。

ひらがな盛衰記は樋口次郎兼光と梶原源太に関わる2つのストーリーが交互に描かれている。
この樋口兼光に関わる段だけを抜き出して、上演するため「通し」ではなく「半通し」になる。

樋口兼光のストーリーとしては発端から終末まで行われるので、「逆櫓」だけとかの見取りでもない。

逆櫓は歌舞伎などでも見取り上演が時々あり、子どもを取り違える大津宿屋も見たことがあるが、それぞれ、今ひとつ流れが見えていなかった。

それが、この半通しで、ひらがな盛衰記の半分はストーリー、顛末として理解できたのはよかった。

今回も2階席からの観劇で、いささか不安だったが、オペラグラスを積極的に活用することで、まあ、なんとか芝居に没入できたんじゃないか。
遠いというより、仕掛けの底割れまで含めた全体が見えてしまうのが、鑑賞体験を妨げるわけで。

さて、やはり切り語りの千歳太夫は素敵である。良く通るだけではなく味もある声ももちろんだが、物語をただ語るのではなく、一旦、身に入れて自らのものにして、その解釈を載せて語るので、魅力が大きい。

また、人形浄瑠璃における三味線。今日は、逆櫓の段での特徴的な弾き方など、心を弾ませ、うっとりさせ、リズムに乗らせて、また、しっとりと聞かせて、改めて、重要性を意識できた。

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