宝生会定期能での高砂

1月の定期能は高砂と小鍛冶であったが、特に高砂について記す。

冒頭からの囃子方、特に大鼓の裂帛の打ち込み、掛け声の一方で小鼓の柔らかいが気合いのある演奏が耳、さらに全身を楽しませる
シテとツレが橋掛りである程度離れて、正対する時間が長く感じる。そこに込められているように思われる多様な意味での男女関係。
高砂の松に代表される知の層が、この能の重要な要素のひとつだろう。「古今の序」という言葉にもよく表されている。

さらに、大きな意義を持つものが、「松は非情」という前提を置きつつ、「草木土砂、風声水音まで萬物のこもる心あり」と述べることは、今の世の環境という発想を乗り越えているのではないか。
草木はもとより土砂、風声水音にまでも「心」を見ることで、人間の振る舞いを見直す。

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