五月文楽公演

シアター1010での文楽公演を見る。
若太夫の襲名披露は国立文楽劇場で既に見ていたこともあり、前の予定もあって「近頃河原の達引」だけを観劇。

しかし、この「近頃河原の達引」も四月に国立文楽劇場で既見であった。始まってから気づく体たらく。いやはや。

が、面白い発見もあった。それは小屋。
シアター1010の2階席はまったくもって文楽鑑賞向けではないということ。
上から見下ろしているので、一の手摺も、二の手摺も、三の手摺も無意味で船底が見えてしまう。

結果として、人形たちがみな宙に浮いているわけで、まずはそこの違和感を克服しないと、芝居に集中できない。

なかなかにトホホな発見でもあるわけだが。
2階席の客もごく僅かであり、この鑑賞経験を与えてしまうのでは、2階席は閉鎖するという発想もあっていい。

私自身、また、この場所から見るかと言われれば、もう結構である。

そう考えると、国立劇場小劇場がいつになったら開場できるのかは、文楽にとって相当な問題で、遅れれば遅れるほど危機は深まる。

一定の期間がかかるとすれば、これから利用する小屋をできる限り、文楽に相応しい構造に変えていくことが求められる。
大夫と三味線引きの盆回しだけ用意すればいいわけじゃないことを十分に意識してほしい。

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