四月大歌舞伎を歌舞伎座で

双蝶々曲輪日記「引窓」を、梅玉、扇雀、松緑、東蔵で。
舞台は京都近郊、石清水八幡宮近くの八幡。

梅玉の所作がみごと。南与兵衛と南方十次兵衛を往復しつつ、生母ではない母の思いを汲み取り、十次兵衛という役人としてのあり方を、解釈した演技。
ちょっとした表情の変化や振る舞いが、そうした心情を十分に示して納得させる。端的にカッコいい。

松緑の濡髪も立ち姿から大きさがあってよかった。松緑はそこまで体格はよくないと思うが、役としての力だろう。

引窓による「時間の操作」として、この演目を考えることもできる。本来は人間が操作できない時間というものを、人々の関係性のなかでの相互納得により移動させる。

七福神は、花形による舞台。歌昇の表情がよかった。

夏祭浪花鑑「住吉鳥居前の場」「難波三婦内の場」「長町裏の場」

米吉のお梶は凛々しい。歌六の三婦も魅力的。
「立つ」か「立たぬ」かという価値観で動く人々のさまざまとして、この物語を読むことができる。

大坂長町裏とは大阪市日本橋あたりとのこと。何度も歩いている、あのあたりで、泥場が起きたと考えると、想像力が喚起される。

ここから先は

47字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?