信号無視

家を出る。家の前の信号を見ると歩行者信号の青が点滅していた。

「あー、向こう側行きたいんだよなー、走ろうかなー、いや、向こう渡ると影がないしやめとこ」

そう判断して横断を諦めた数秒後、信号無視の車が猛スピードで私の渡ろうとした横断歩道を突っ切った。

「うわー、赤で突っ込んでるよ、何やってんだ…」
と考えた直後、私は真っ青になった。判断次第ではその横断歩道をダッシュで渡っていたからだ。

もし急いでいたら?そうでなくとも待つのが嫌で走っちゃったら?向こう側こそが日陰だったら?間違えなくダッシュで横断歩道を渡っていたはずだ。その場合、私も私で建物の敷地から急に飛び出していたはずなので、運転手からの認識は相当困難だったことが想像に難くない。
その後、運が良ければ私の「目の前」をその車が突っ切っただろう、しかし運が悪ければ…。

その後一日、ゲームで遊んだり、しゃぶしゃぶ食べ放題に行ったり、Youtubeで動画を見たりしていつもどおり楽しく過ごしているが、「場合によってはこんな事出来てなかったな…」という気分がどこかに残っている。

「本当に人はいつ死ぬかわからない。だから毎日を丁寧に生きていきなさい」

2017年、西武ライオンズの森慎二コーチが亡くなられた際に出た記事の中で、森コーチの親族の方がまだ小さい森コーチの3人の子どもたちにこう語ったというのが上記の台詞だ。
当然、私とは状況も何もかも違うが、心にふっと残っていたこの言葉が思い出され、俄然強く心に刻まれた気がした。

丁寧に生きよう、そして交通ルールは守ろう…。

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