bookend
あ、それ虫ですね、と彼女は言った
とにかくホッとした
丁寧にお礼をし、からあげクンを買って店を出た
やり残した感を払拭できずに提出した書類のことはすっかり忘れた
そのあとは変なテンションで仕事をした
わたしは目が大きいわけではなく、歩くのが早い
虫が私を避けきれず眼の中に飛び込んできた
傘と書類で両手は塞がっている
郵便局へ急いだ
書類は提出できたけどお手洗いはなかった
コンビニ支払いのミッションが残っているので、なるべく眼球を動かさないようにして早足で一直線に歩いた
多分とてもあやしかったとおもう
たまに行くコンビニのお手洗いの場所は把握していなかった
思っていた場所の逆サイドにそれはあった
鏡には焦って困った自分
湿気で広がった髪も気になったけど、左眼に集中した
目頭の奥の小さな黒い物体はティッシュでは捕獲できない
眼に虫が入っちゃって、綿棒どこにありますか?
品出ししている店員さんに冷静に伝えた
え!?事務所にあるかもしれないので持ってきます!
違う違う!買います買います!
陳列棚を探し始めると店員さんは本当に綿棒を持って現れた
その綿棒は黒かった
鏡の前で息を呑む2人
なんとなく手応えはあったが捕獲出来たか分からない
黒い綿棒の先をティッシュにつけると…
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