博耕房授業記録【6月②】
こんばんは。
博耕房は早くも8週目に突入しました。早いものです。
前回の振り返りはこちら。
それでは今週の授業内容を紹介いたします。
◇【共通】ウォーミングアップ~「キソトレ」の「キントレ」
「キソトレ」という読解において気にすべきポイントをある程度網羅した教材を今年の担当クラスの受講生には渡してあります。
ところどころ誤植はあるものの(今後訂正予定)、我ながらよくまとまった副教材だなと思っております。自己編集の割には結構なクオリティだと思っております。
さて、そんなキソトレの効果を高めるために行っているのが「キントレ」です。言われてみれば各スポーツの基礎的なトレーニングのさらに基礎部分にウェイトトレーニング、いわゆる筋トレがありますよね。その意味でも理に適っている。
今回は2006年のセンター試験を抜粋して「比喩」「具体化換言」についてお話をしました。
キントレではあえて文章を短くしています。
理由としてはまずは短文で頭の使い方を確認するため、であります。読解作業が苦手な生徒は長い文章からはじめてもまず読めることはないですし、そうでなくとも文章が長いと背景の知識等様々に「脱線」していくことは不可避です。
よって、あえて短い文章にし、テーマを明確にしながら鍛えるポイントを提示しています。実際の筋トレでも「今日は足」「明日は腕」というようにパーツごとにトレーニングをしていくわけですが、それに近い作業をイメージしています。
効果は……徐々に出てきていますね。文章の論理構造の把握がスムーズにできていたり、少なくとも「意識する」ところまで到達できているように思えます。
何事もそうだと思うのですが、まずは「意識する」ことからすべてが始まります。意識することを無意識にできるようになると……そのあとは順調に成長していきますね。
さて、今回のテーマの比喩問題ですが、比喩は「比喩表現と喩えたいことの間の共通点」を考えることがポイントとなってきます。その共通点が文章中に明記されているならそれを探すだけですが、そうではない場合も多く、その場合は「自分で見出す」ことが求められ、その際には「語彙力」が重要となってきます。読むだけではなく解くうえでも語彙力は重要なのです。
そして具体化換言ですが、2006年の出題ながら、むしろここ最近私大でも国公立大学でもよく見かける問題です。このタイプの問題はまずは抽象化して根拠を求めることが重要です。そして選択肢内容とその根拠をすり合わせる、といった作業ができるかなのですが、最後は練習がモノを言う世界でもあるかな、と思います。
◇ハイレベル現代文
『はみ出しの人類学』もいよいよ3章の最終版に到達しました。
<文章内容>
・「わたし」とは何か―「アイデンティティ」とは存在するのか
・平野啓一郎の「分人」概念を用いた人間の捉え方
・「つながり」によって「わたし」は作られる―文化人類学の手法
ここまでのお話の総括に位置する内容でした。
文化人類学そのものが西洋の植民地主義(合理主義)からの脱却という意味合いを持つ学問ですが、合理主義が「二元論的」(=二つのものを分離させる)思想であれば、文化人類学はその断絶を乗り越えて「関係性」を見出す学問であると言えるでしょう。
<設問>
ハイレベル現代は受験生中心なのでそろそろ設問へのアプローチも確認し始めます。(受講生には「だんだん普通の入試現代文の授業になる」とも伝えてあります。)
今回は「本文中の定義」を端的にまとめることをテーマとして設問を設定しました。
この「端的にまとめる」という作業が非常に重要。長い記述であろうが、選択肢問題であろうが、答えを考える上でこの思考ができていない受験生は非常に多いのです。この作業が漏れていると、結果として答えるものがズレてしまうのです。よって、博耕房の授業ではまず「端的に」まとめることからはじめていきます。
◇ベーシック現代文
こちらはまだまだ『友だち幻想』の途中です。
そして先週に引き続き、要約を中心に授業を進めています。
なぜ要約文を書いてもらうのか。それは論理構造の把握力を高めるためです。
最終的に要約文が出題される入試問題は限られていますが、文章構造を把握する必要性はほぼすべての大学にあるのではないでしょうか。
それを正確に把握しているかを確認するためには実際に書いてもらうことがもっとも効果的であります。よって、要約文を書いてもらうのです。
4月から続けてきたおかげか、少しずつ、しかし確実に把握する力はついてきております。この積み重ねが間違いなく入試現代文を突破する力の基盤となることを信じております。
今週は以上です。
それではまた来週。
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