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国公立大学入試分析⑳ 東京都立大学

おはようございます。

こういう種類の分析って爆発的に見てもらえることもあれば、じわじわと広がっていくこともありまして。

たとえば、早稲田実業の分析なんて出した当初は全く反応がなかったのに、気づけば1,000pvを達成していたりします。

そしてこの分析シリーズも大して見られているわけではないのですが、入試シーズンが進行するにつれて、そのうちじわじわとみられていくといいなあ、なんて思っていたりします。

そんな分析も早くも20本目。おそらく多くの方々が「東北地方あたりで頓挫するんじゃないか」と思われていたのではないかと笑

実際、東北地方ではかなりの足止めを食らいました。ひと月前は本当に忙しかった…と遠い目をしております。しかし、何とかここまで来ることができました。

そして、東京都内の大学の分析も3つ目です。今日は東京都立大学です。
多摩地区シリーズ第二弾。


私が大学生のころに首都大学東京に名前が変わりましたね。あの時は大騒動になってました…
当時の都知事であった石原慎太郎氏が一橋大学(彼の母校)に講演に来ていた時に、公明変更阻止の過激派がたしか火炎瓶をもって彼を襲撃しようとした…そんなニュースがあった気がします。
なお、当時学部一年生だった私はその講演会に参加しましたが、その中の話は一切の過激さのない好々爺然とした話しぶりで個人的には非常に面白かったんですけどね。


〇全体概観

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・時間 120分(現代文は90~100分位で解く)
・分量 2500字程度 
・文章 評論
・設問 記述3-4題

<コメント>
大問1が古文で、大問2が現代文。大問3が小論文風の問題という構成です。今回は主に大問2の分析をしつつ、大問3にも少しだけ触れていきます。


〇各年度の短評

◆2016年 標準
難易度
【文章】★★★  
【設問】★★★

<総評>
文章は標準的。演劇を通しての近代批判。「よくある」テーマの文章である。これぐらいは読めてほしい。
設問も標準的。語句の意味、比喩換言、要約問題。問題構成がシンプル。それでいて浅いわけではない。

【大問3】★★★ 標準的
「若いうちにアジアを歩け」というテーマの文章に対する意見記述(400字)

◆2017年 標準
難易度
【文章】★★★   
【設問】★★★

<総評>
文章は標準的。哲学に関する文章なのですが、何より内容が読みやすい。
設問も標準的。引き続き比喩の理解がポイント。なお、語彙の説明問題が出題されなかった

【大問3】★★★
「若いうちにアジアを歩け」というテーマの文章に対する意見記述(400字)

◆2018年 やや難
難易度
【文章】★★★★  
【設問】★★★

<総評>
文章はやや難。フッサールの「現象学」について述べている文章。読みにくいかもしれない。
設問は標準的。語彙説明問題が復活。相変わらずの比喩の解釈と主張の要約。

【大問3】★★★
「外国語の濫用」というテーマの文章に対する意見記述(400字)

◆2019年 やや難
難易度
【文章】★★★★  
【設問】★★★

<総評>
文章はやや難。物理的な空間の広さと社会的(?)な空間の広さは異なる、という内容の文章。意味がつかみにくいかもしれない。
設問は標準的。語彙説明問題が引き続き出題。相変わらずの比喩の解釈と主張の要約。(繰り返し)

【大問3】★★★
「コミュニケーション経験の重要性」というテーマの文章に対する意見記述(400字)

◆2020年 標準
難易度
【文章】★★★  
【設問】★★★

<総評>
文章は標準的。人間の存在を自然と対比させて論じる哲学的な文章。この大学は「哲学」が好きなのね。
設問も標準的。本当にいつも通りの出題パターン。慣れれば対応可能。

【大問3】★★★★
「情報ネット―ワーク社会における個のありかた」というテーマの文章に対する意見記述(400字)

〇過去問から考える東京都立大学が求める力

① 比喩の換言を適切に行う力
比喩換言は「たとえられている言葉」と「たとえている言葉(比喩)」の関係性を見抜くことが求められる問題。その意味では高度な言語処理能力が求められるので対策が必要。

② 自分の意見を構築する力
これは東京学芸大学や千葉大学でも書いたこととリンクしますが、「たったの」400字ですが、自分なりに論を構築し相手に読ませるものを書かなくてはなりません。

〇東京都立大学の対策に役立つ他大学の過去問

① 全体の構成
一橋大学などの過去問にも目を通しましょう。比喩の換言や最後の要約問題など、構成が割と似ていますね。

② 意見記述の練習
お茶の水女子大学、東京学芸大学、千葉大学(文学部など)の過去問にも目を通しておきましょう。

〇補足:高校受験とのリンク

設問の構成は慶應義塾女子高校の問題が似ている気がします。なにより国語に加えて作文がある入試ですから、構成としてもいい練習になると思います。

明日は山梨大学の過去問分析をお送りいたします。

それでは!

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