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国公立大学入試分析⑱ お茶の水女子大学

おはようございます。

順調に一つ一つの大学の分析ができています。基本的には私の自己研鑽が目的なんですけどね。

それを皆さんに共有しつつ、受験生や指導者の方にとって何科の役に立てばなあ、と思っております。

さて、千葉大学シリーズが終了しました。いい問題を出す学校ですよね。本当に。

さて、今回はいよいよ都内に入ります。なお、東京大学はこのシリーズの大トリとして分析をする予定なので、その他の大学で国語の入試科目があるところを解説していきます。
初回はお茶の水女子大学の分析をします。なぜお茶女が最初か。大学時代の彼女の一人がお茶女の子だったからですかね

〇全体概観

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・時間 100分(現代文は40~45分位で解く)
・分量 4,000字程度 
・文章 評論
・設問 記述5-6題

<コメント>
文章は哲学的な内容を好んで出題している。それに対する問題も換言から理由説明まで要求してくる。
設問の大きな特徴は体験記述の出題である。文章内容から自分の経験へとリンクさせることができるかが問われている。なお、2019年度より公開されている解答基準では80%以上の字数(240字以上)書くことを得点の条件にしている模様である。


〇各年度の短評

では、ここからは各年度の問題について簡単に評していく。

◆2016年 やや難
難易度
【文章】★★★★  
【設問】★★★★

<総評>
文章はやや難。減少額について具体例を交えながら説明している文章なのだが、とっつきにくいと感じる受験生が多いように思われる。
設問もやや難因果関係や具体例の意図を把握する問4までと、文章以外の例を使った具体化記述が問われる問5、そして自分の経験を書いていく問6と、抜かりなく全方向から現代文の力を測ろうとする感じ、すごくいい笑。

◆2017年 難
難易度
【文章】★★★★   
【設問】★★★★

<総評>
文章はやや難。ここまでの二年間を見ていると、お茶女は哲学がお好きなのね、という感じ。2016年とテーマは似通っていて、現象学が少し絡んだ存在についての内容である。
設問は難しい。問2、3で比喩換言。問4は理由。なぜ必要条件を満たし、十分条件ではないのかを答えるのは難儀しそう問6は経験記述。これも思いつかない気がする。難しいなあ。

◆2018年 やや難
難易度
【文章】★★★★   
【設問】★★★

<総評>
文章はやや難。自然というありかたから人間の在り方について敷衍して述べている。やっぱり、哲学的なテーマがお好きなのね。
設問は標準的。相変わらず問6は経験記述。自然の話にとらわれず書いていけばいい。

◆2019年 標準的
難易度
【文章】★★★    
【設問】★★★
<総評>
文章は標準的当然、哲学についての文章。今回はデカルトから始まる西洋哲学を批判的に捉えている文章である。一応倫理で扱う範囲ではある。
設問も標準的。問6の体験記述も抽象的に見えて意外と書きやすいような気がする。例年と比べるとやや易しいが、一般的なレベルから考えるともちろんまあまあ難しい

◆2020年 やや難
難易度
【文章】★★★★  
【設問】★★★★

<総評>
文章はやや難。マタニティフォトの話なのでテーマが変わったかと思いきや、結局のところ現象学のお話に。テーマが哲学であることは変わりなし
設問はやや難。問5までは易しくはないが標準的。問6の経験記述は……スマホなどを例にして考えてみるとわかるかもしれないが、それでも難しいでしょう。

〇過去問から考えるお茶の水女子大学が求める力

① 哲学的な文章を読みこなす力
大学からのメッセージとして入試問題を考えるならば、この大学は哲学についての文章が読みこなせる女の子が欲しいのだと思います。よって、哲学関連の新書などを読んでおくのも慣れを作るうえではいいかもしれません

② 文章と自分の経験・社会の出来事を紐づける能力
千葉大学(文学部など)の分析でも述べましたが、文章内容を自分の経験や世の中の出来事にうまくリンクさせる力は、内容理解のためには非常に重要です。それをもとにお茶の水女子大学は300字の記述を書かせるのです。

〇お茶の水女子大学の対策に役立つ他大学の過去問

① 文章のレベル
東北大学宇都宮大学の問題を推奨。ともに大問1を解いてみてください。

② 体験記述の練習
静岡大学の過去問を推奨。字数も同じぐらいなので、使い勝手が非常に良いと思われます。 

〇補足:高校受験とのリンク

開成高校、筑波大附属高校、慶應義塾志木高校あたりの対策にはもってこいです。問6の体験記述はカットしても構いませんが、文章のレベルなどはマッチしていると思われます。


明日は東京学芸大学の過去問分析をお送りいたします。

それでは!

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