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国公立大学入試分析㉒ 都留文科大学

どうも。更新が遅れがちですがじわじわとやり続けます。何とか年末までに完走したい。

今回は山梨県シリーズは第二弾。都留文科大学の分析を行います。


都留文科大学といえば中期試験の印象であるので、今回は中期試験の文学部(国文)の分析です。


〇全体概観

・時間 100分(現代文は40分位で解く)
・分量 4,000字程度 
・文章 評論
・設問 漢字+客観1問前後+記述4問程度

〇都留文科大学のマクロ分析(3点まとめ)

① 文章は国公立大学にしてはやや長い。文学部のみの出題なのでやはり国文学よりの問題になっている。
② 設問は文章の論理展開を追えていることが最低限必要。その再現に近い問題である。
③ 全体として標準的~やや難。


〇都留文科大学のミクロ分析(5年分分析)

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◆2016年 標準
難易度
【文章】★★★  
【設問】★★★

<総評>
文章は標準的。「引用」についての文章。日本文化における引用の在り方と近代思想と「引用」の関係性について述べている。
設問も標準的
問1漢字はやや難しい?
問2の抜き出しは論理展開を追っていけば問題なし。
問3の理由記述はやや平易。
問4の理由問題はやや難。最後の「漏れ出した水のようなもの」の解釈がやや手間取るかも。
問5は標準的。書くべきところはすぐに決まる。まとめにくいかもしれないが。
問6は標準的。源氏物語の例に即して書くことによって幾分平易になっているか?基本的には解きにくい問題かもしれないが。

◆2017年 やや難
難易度
【文章】★★★   
【設問】★★★★

<総評>
文章は標準的短歌をテーマにした文章。俳句や外国の詩人との対比を通して相違点や共通点を見出す文章。
設問はやや難。
問1の漢字は標準的。
問2の空欄補充も難なく入る。
問3の理由記述はやや平易。俳句の性質についての言及箇所を拾えばいい。
問4の理由記述はやや難。論理展開さえ追えていれば類比に気づくのだが、その共通点の抽出が意外と難しい。部分点狙いかもしれない。
問5の換言記述は難。問4に続いて類比の共通点の抽出が求められるのだが、これは結構ハード。
問6の理由記述はやや難。今度は対比。問5が理解できていれば方針は立つが、そこがズレているともう厳しい。

◆2018年 標準
難易度
【文章】★★★   
【設問】★★★

<総評>
文章は標準的。文学における原体験について述べている文章。
設問は標準的
問1の漢字は標準的。
問2は標準的。一つにまとめて聞くと結構しんどいが、要素ごとに分けて聞くなら、標準的か。
問3は標準的。この大学、類比好きだなあと思ってしまう類比問題の連続。その共通点の抽出は後程乗せる学校発表の講評によればそれなりに難しいものであるらしい。
問4は標準的。「定型」の解釈ができればよい。
問5は標準的。「幼年時代」についての解釈ができればよい。

◆2019年 やや難
難易度
【文章】★★★★    
【設問】★★★★

<総評>
文章はやや難しい。日本の文化の特徴を西洋のそれと比較しつつ論じているが、比喩的な表現の解釈がなかなか難しい。
設問はやや難。
問1は漢字。「大仰」の読みは難しいかも。あとホウジョウ(豊穣)は書けない気がする。
問2は標準的。抜き出しの問題。換言記述だと結構しんどかったが、抜き出しなら……という感じ。
問3は標準的。「画題」という用語を使えばいいと思うが、大学側の講評によると「要素をほぼ満たしている」か「大外し」かに二分されたらしい。読みにくいんだろうな、文章が。
問4はやや難。単に美術史の問題ではなくもう少し普遍化が必要。講評によると浅い答えが多いみたい。
問5はやや難。直後の内容をまとめる必要があるが、まとめる内容や範囲を外してしまいそう。本文が読めてないと難しい。
問6は標準。「和歌に即して」という条件を外してしまうと痛手を食らう。

◆2020年 やや難
難易度
【文章】★★★★  
【設問】★★★

<総評>
文章はやや難。日本の和歌に関する文章。受験生にはやや読みにくいような気がする。
設問は標準的。
問1は漢字。そんなに難しくない。
問2は標準的。空欄補充で「引っかかる」ことから「抵抗」と出てくるはず。
問3は標準的。設問条件さえ見落とさなければ問題なし。
問4は標準的。「人間としての語り手」の内容の比喩解釈が問われている。
問5はやや難。「基底部の矛盾」「干渉部の矛盾」の両方に気づけるか……。
問6は標準的。設問を読んでその後の論理展開に気づくことができれば問題なし。

〇都留文科大学が公表している解答や採点の方針



〇過去問から考える都留文科大学が求める力

① 論理展開を正しく追う力
→ 文章内容を押さえることが解答の基本、ということをしっかりと設問に落とし込んでくれているのが都留文科大学の過去問ですね。

② 比喩を正しく解釈する力
→ 傍線部のみならず、文章内容の理解のためには比喩表現の理解が大切であることを理解して作問されている印象ですね。


〇都留文科大学の対策に役立つ他大学の過去問

東京都立大学の問題(意見記述を除く)はいい練習になるかもしれません。


〇補足:高校受験とのリンク

国立附属高校(筑駒除く)の記述の練習としてはいい問題。ちょっとテーマに偏りはあるが。
また、慶應義塾高校は伝統的に日本語論がテーマになる文章なので、いい練習になるかも。


次回は信州大学の過去問分析をお送りいたします。

それでは!

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