2022入試 問題研究⑭ 愛知県立大学の現代文
◇前回のおさらい
〇鹿児島大学の現代文の分析
実は九州の大学は初めての分析でした。
今回は個人的にも所縁のある愛知県立大学の分析です。
◇愛知県立大学の国語
現代文は読解問題のみならず知識も問うてくるバランスの良い出題。
古文漢文も文法知識が問われるのでしっかりと対応すべきであろう。
◇出典分析
〇『意味の発生学―ジル・ドゥルーズの文学論を巡って』安藤礼二
◇設問の解説
問1 漢字 難易度:標準
問2 慣用句 難易度:難
こういう語彙知識も勉強すべきだが、これは難しいだろう。
問3 理由説明 難易度:★★★
<解答へのプロセス>
① 傍線部分析
→ 理由説明問題は傍線部(または設問条件)に結果が含まれている。
よって今回は「特権的」である理由を考えるのだが、では「何が」特権的なのか。傍線部を含む一文から「主語」に当たるものを考えると「解体とは」となる。
②因果関係を作る
→ では「解体」がなぜ「特権的」なのかというと、それは傍線部の一文の内容の通りで「解体」=「分析」=「解釈」することが「創造」につながるのだ。これは「逆説的」(=一見矛盾しているが実は真理の一端を示すこと)であるがゆえに「特別なこと」なのだ。
③ 答えの作り方
→ 以上を踏まえて答えを作るのだが、愛県大の模範解答は上記のことを「相反することが成立する」(=逆説的)というまとめをしている。
一方で私の答えは「解体」と「創造」の説明を加えたものだ。どちらでも正解になると思われる。
問4 抜き出し 難易度:やや平易
問5 理由説明 難易度:★★★★
<解答へのプロセス>
① 傍線部分析
→ 先ほどと同様に理由説明問題は傍線部(または設問条件)に結果が含まれている。
よって今回は傍線部「宙づり」が「すぐれた作品」を生み出す理由を考える。
その前にまず、「宙づり」とは何か。これは直前の文を参照すると「音と文字、読めることと読めないこと、意味と無意味」という「どちらともつかない状態」のことを指しているのだ。
②因果関係を作る
→ この上で「宙づり」の状態が「すぐれた作品」であることを考えるのだが、「すぐれた作品」と同じ意味の語が②段落末尾にある。「究極の作品」だ。これは「自然の音と人為の音の差異がぎりぎり最小限になったところ」に表れる。つまり、自然の音とも人為の音とも「どちらともつかない」(=宙づり)の状態になると「究極の作品」(=優れた作品)となるのだ。
③ 答えの作り方
→ 以上を踏まえて答えを作るのだが、愛県大の模範解答は上記のことを「せめぎあう」というまとめをしている。いろいろなまとめ方があるのだなあ。
一方で私の答えは宙づりを主語に持ってきたうえで「相反する意味を抱える」というように「どちらともつかない」を換言した。
どちらでも正解になると思われる。
問6 換言問題 難易度:★★★
① 傍線部分析
→ 「批評=文学」の換言である。しかも条件に「批評と文学の特徴を説明する」とある。
ここから「批評」と「文学」の特徴を「両者が同じものである」とわかるようにまとめればよい。
②解答根拠
→ 文学は①段落に「言葉を徹底的に解釈して創造する」(=問3に近い要素)とある。
批評は③段落後半に「文学作品を解釈したうえで組織する」ものとしている。この部分をまとめればよい。
③ 答えの作り方
→ 両者を「同じ」「共通している」とまとめればよい。
今回は以上です。また来週。
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