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国公立大学入試分析⑰ 千葉大学(教育学部)

おはようございます。

何かの事故が起こっていない限り、これで1週間連続の投稿になっていると思います!

毎日毎日の営みとして入試問題を分析し、noteを更新する……結局自己研鑽に皆様をお付き合いさせているわけですが、今回も是非ともごゆるりとご覧いただければと存じます。

さて、前回は千葉大学の教育学部以外の学部の問題の分析を実施いたしました。

今回は教育学部の過去問の分析を実施したします。

〇全体概観

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・時間 : 120分(現代文は60~70分位で解く)
・分量 
【大問1】は2,500~3,000字程度
【大問4】は2,500~3,000字程度(2019年まで)

・文章 
【大問1】は評論
【大問4】は小説か随筆(2019年まで)

・設問 
記述中心・語彙も問うてくる

<コメント>
文章表現についての理解を求めてくるのが千葉大学教育学部の問題の特徴。それに紐づけて語彙の問題も聞いてくる。
なお、2020年からは大学入学共通テストを意識した問題になっている。もちろん、共通テストよりもよく練られた問題になっているが、2019年以前の問題形式の方がよかったと思う。


〇各年度の短評

では、ここからは各年度の問題について簡単に評していく。

◆2016年 全体:やや難
【大問1】やや難
難易度
【文章】★★★  
【設問】★★★★

<総評>
文章は標準的。ツーリズムの在り方という受験生でも内容として理解できそうなところを絶妙に突いてきている印象。
設問はやや難。特筆して難しいものがあるわけではないが、語彙(醍醐味/齟齬の意味を答えるもの)問4の比喩解釈など、しっかりと文章が読み込めていないと理解できないものが並んでいる

【大問4】やや難
難易度
【文章】★★★    
【設問】★★★★★

<総評>
文章は標準的。小説だが、特に内容が理解できない箇所はないと思われる。
設問は難しい。いやあ……すごい問題だと思いますよ。文学国語が軽視されつつある時代の中で、小説の表現意図を徹底して追究させる問題を出すとは……。問2の表現が意味するものの換言も素晴らしいと思うし、問3の会話文を通した考えの相違、さらに問4の「」の有無による筆者の意図の把握……異次元です

◆2017年 全体:標準
【大問1】標準
難易度
【文章】★★★   
【設問】★★★

<総評>
文章は標準的。受験生があまり目にしたことないであろう言葉もしっかりと定義しているし、論理展開も明確である。
設問は標準的。語彙に関する問題が良く出てくる。大学側が求めている力にも通ずるものはある。また、問7の文体の特徴を聞く問題も、あまり類題がないので過去問演習を通してしっかりと習得してほしい

【大問4】標準
難易度
【文章】★★   
【設問】★★★★

<総評>
文章はやや平易簡単そうに「見える」のである。実際に文章を読むだけなら楽しく読めるお話なのである。
設問はやや難。文章表現について問うてくるというこの大学(学部)の問題の真価は随筆でこそ発揮されるのかもしれない問2や問4は文章表現を踏まえて筆者の意図をくみ取る必要がある。問5は文章間の関係性。これって、大学入学共通テストに通ずるものですね。しかも、こちらの方が質が良い

◆2018年 全体:標準
【大問1】標準
難易度
【文章】★★★   
【設問】★★★

<総評>
文章は標準的。2020年のセンター試験のテーマであった「レジリエンス」についての内容。
設問は標準的。言語事項、文学史などを幅広く聞いてくるなかで、問6の「自分の言葉を使って説明する」問題は「記述=書き抜き」と思っている受験生をしっかりとふるい落とせる問題。いい問題である。

【大問4】標準
難易度
【文章】★    
【設問】★★★★

<総評>
文章内容は平易。この文章を難しいと感じる受験生は恐らくいないであろう。
設問はやや難問1表現の特徴、問2心情の変化、問3心情把握、問4表現から人物像を考える、問5象徴の理解。このうち問4と5が難しい。しかし、小説問題で測ることの出来る能力の多くが詰まった問題でもあると思う。面白い。

◆2019年 全体:やや難
【大問1】やや難
難易度
【文章】★★★    
【設問】★★★★

<総評>
文章は標準的。メディアとしての言語に関する内容だが、そこまで重い内容ではない。
設問はやや難しい。問6までは標準的な問題だが、問7が難しい。本文内容を踏まえて自分で考える問題は受験生が戸惑うかな、と

【大問2】やや難
難易度
【文章】★★★  
【設問】★★★★

<総評>
文章は標準的。受験生は世代的にも読みやすいかもしれない。
設問はやや難。何が難しいというよりも全てほどよく難しい。表現意図、心情把握、主題把握……ここまでちゃんと聞いてくる問題はそうそうない。重ね重ね、この問題が出なくなることは惜しい。

◆2020年 やや難
【大問1】標準
難易度
【文章】★★★    
【設問】★★★
<総評>
文章は標準的。新聞記事を四つ並べ、そのあとに生徒の話を載せるパターンの文章。
設問は標準的。新聞記事の中の「事実」を伝える部分と、編集者や記者の「意見」を記す部分の違いについて触れる設問がある。
ある種の制約の中で作った中では面白いが、やはり、2019年以前の形式の方が心が躍る

〇過去問から考える千葉大学(教育学部)が求める力

① 文章表現についての理解
現代文の読解というと傍線部の「前後を探す」というようなあやふやな解法がおおかったり、そのような説明になりがちだったりするのだが、千葉大学の求めている力は、傍線部も含めた文章表現を吟味して、そこから何を学ぶことができるのか、ということを受験生に問うているのである。
実はこれ、問題を解いているだけでは全く身につかない能力だったりします

② 語彙力
語彙力は大事である、という話はひたすらにしているのですが、千葉大学に関しては直接問題で問うてきます。意味をちゃんと言語化できるところまで覚えこんでください。

〇千葉大学(教育学部)の対策に役立つ他大学の過去問

この学部の問題は、過去問を掘り下げることを推奨いたします。

〇補足:高校受験とのリンク

・ ちょっと特殊な問題なので今回はスルー。

2019年以前の形式に戻ってほしい……。そう思います。
明日は都内に進出!お茶の水女子大学の過去問分析をお送りいたします。

それでは!

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