臨床放射線増刊号-非典型症例と類似疾患を知ってCommon Diseaseを極める-のメモ②胸部

✅肺癌の組織型
•腺癌
•扁平上皮癌
•神経内分泌腫瘍(小細胞癌,大細胞神経内分泌腫瘍,カルチノイド腫瘍)
•大細胞癌
•腺扁平上皮癌
•肉腫様癌
•分類不能癌
•唾液腺型腫瘍

✅UIP:“著明な左右差"と小葉内に正常を含めた3つ以上の所見が不規則
に混在”

✅NSIPの非典型例:線維化性過敏性肺炎など二次性fNSIPの症例では,併発するUIPや細気管支病変など他の病理像の影響で同定すら困難である。均質な牽引性細気管支拡張を伴うすりガラス影,網状影の領域が同定されるとfNSIPの存在を指摘することとなる

✅非区域性(大葉性)肺炎を引き起こす微生物は,肺炎球菌),肺炎桿菌肺炎クラミジア,オウム病クラミジア,レジオネラ

✅胸膜直下が保たれる(肺野内層優位)あるいは二次小葉が保たれる:
肺胞性肺水腫, 急性好酸球性肺炎,肺胞出血,ニューモシスチス肺炎,肺胞蛋白症の一部

✅小葉中心性病変(淡く境界不明瞭な粒状影):非線維性過敏性肺臓炎, 肺出血,異所性肺石灰化症,溶接工肺,respiratory bronchiolitis-associated interstitial lung disease(RB-ILD),リポイド肺炎などで,intravascular lymphomaやinvasive mucinous adenocar­cinomaの経気道性散布病変などの腫瘍性疾患でも認められることがある。また炎症性腸疾患でも約半数に認められる。ヒトメタニューモウイルス肺炎を除き,一般的に感染症では認めら
れない。

✅小葉中心性病変(高濃度な粒状影):細菌性肺炎。特に結核や非結核性抗酸菌症などの他,マイコプラズマ肺炎やインフルエンザ桿菌肺炎などの気管支肺炎で高頻度に認められる。その他,真菌感染症(侵襲性アスペルギルス症やABPA),HABA,DPB,DAB,RAなど膠原病に伴う濾胞性細気管支炎。PTTM,閉塞性細気管支炎も

✅小葉間隔壁肥厚が主所見となる感染症:日本では,恙虫病と慢性EBウイルス感染症のみ

✅asthma and COPD overlap(ACO):気管支喘息とCOPDのそれぞれの特徴を併せもった持続性の気流制限

✅胸腺嚢胞の非典型像:まれに壁に石灰化。または多房性胸腺嚢胞。

✅胸腺上皮性腫瘍の非典型像:胸腺腫では高度に囊胞変性を示す場合。まれに甲状腺直下に発生する場合もあり,頸部胸腺腫と呼ばれる。

✅成熟奇形腫:CTで脂肪も石灰化も有さないことがある。CTで明らかな脂肪成分のない奇形腫であっても,MRIのchemical shift imagingで脂肪を検
出できる場合がある。

✅縦隔原発悪性リンパ腫の非典型像:壊死や囊胞変性により内部不均一となる場合もある。縦隔原発悪性リンパ腫の約半数が壊死または囊胞変性を示したという報告もあり,内部が不均一であることはむしろ縦隔原発悪性リンパ腫の典型像というべきかもしれない。特にMALTリンパ腫は囊胞変性をきたしやすいことが知られる

✅神経鞘腫・神経線維腫の非典型像:ごくまれに中縦隔や前縦隔にも発生する。内部が高度に囊胞変性して壁のみが造影されることもあり,囊胞性神経鞘腫と呼ばれる。

✅INOCA(冠動脈閉塞を伴わない心筋虚血(ischemia with non-obstructive coronary artery disease):中には冠攣縮性狭心症や冠微小循環障害などの複数の疾患機序が含まれる

✅非典型的画像所見を示す大動脈瘤:大動脈瘤破裂、炎症性大動脈瘤、感染性大動脈瘤、外傷性大動脈瘤、遺伝性大動脈疾患(Marfan,vEDS)


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