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「ビジネスの未来」を読んだのでメモ

はじめに

ビジネスの未来(山口周著)を読んだので、その感想などをメモ。
「モビリティの進化とかIT化とかが進んでも、生活が著しく良くなったと感じない。果たして働く意味とは。」という悶々とした思いを、データを元に言語化してくれている本です。

明るく開けた幸福の高原

明るく開けた幸福の高原とは、生存を脅かされない物質的生活基盤の整備という課題が解決された現在の日本のような社会のことです。経済成長率等の数字から、日本社会を「停滞の暗い谷間」と表現することがありますが、生活満足度や幸福度の数値は昔と比較し、総じて向上しています。(一部低い水準の人も居ますが、マイノリティではあるので、一度横に置いときます。)つまり経済成長という視点で社会評価するのではなく、生活の豊かさという視点で社会評価すれば、既に私達の社会は成熟しているということです。

ビジネスの終了

上記で生存を脅かされない物質的生活基盤の整備という課題が、既に解決されているという話をしました。つまり物質的な不満が、今の日本に多くは存在しないということです。それは需要の縮小を意味するので、ビジネス的には不都合です。ビジネス的には不都合であるから、私達は「生存を脅かされない物質的生活基盤の整備という課題解決」を手放しで喜ぶことができていません。これは現代の経済成長第一主義の弊害だと思っています。
また日本社会は、年功序列・終身雇用・新卒一括採用といった経済成長を前提とした社会システムを構築しているので、それもまた明るく開けた幸福の高原状態を喜べない要因であります。
そして私達がこのビジネスの役割が終了した現段階で注力している活動が、マーケティング活動です。参考に電通の「広告戦略十訓」を記載しますが、このような発想で私達が「明るく開けた幸福の高原」であることを認識させないようにさせるのが、マーケティング活動っぽいです。

果たしてこのような現状は、良いことなのでしょうか?(いや良くない。)
ではどうするか?「経済性から人間性への転換」です!

経済性から人間性への転換

「もう物質的な豊かさは満たされているのだから、人間的に生きようよ」ということです。
今以上の文明化のために、自然を更に破壊するのですか?等の問いに対して、経済成長という言い訳で問題から目を背けるのは辞めましょうという話だと思います。
※人間的:人間の性格・感情に関するものであるさま。(日本国語辞典)
この「経済性から人間性への転換」が行われ、価値観の変化を起こすことができれば、より多様な課題解決が実施されるはずです。経済性を考えるとフィージビリティーが低く、インパクトが大きい課題解決しか実施されません。しかし人間性を考慮すれば、インパクトの大小は関係ナシに、様々な課題への取り組みが行われるはずだろうという話です。
そうしてより文化的な社会、生きることに価値がある社会の実現を目指しましょう!ということです。

さいごに

とりあえず纏めると(笑)、そろそろ旧時代の価値観をアップデートしようよ!という壮大な話をしている本でした。たしかに価値観のアップデートは必要だが、アップデートした後の社会システムはどうするべきか?という問いを投げつけられた感じもあります。(一応本書の中でも社会システムについて言及がありますが…)
以上!

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