第15日・イラン、シーラーズとペルセポリス
エスファハーンからバスで7時間、ファールス州シーラーズ市は、ペルセポリス観光の拠点となる町である。
ペルセポリスは、アケメネス朝ペルシアの都として栄えた古代遺跡で、エジプトのピラミッド、ヨルダンのペトラ遺跡と併せ「中東の3P」と呼ばれている、と『歩き方』にある。中東の3P……。
▲ペルセポリス近郊、ダレイオス1世らの王墓ナクシェ・ロスタム
ペルセポリスには現地旅行会社のツアーに参加した。ツアーには僕のほかに二人の中国人男性と、スペイン人女性が一人、それに真っ黒いチャードルを着た日本人女性がふたり参加していた。この恰好のおかげで、東北イランの巡礼地マシュハドの、ムスリムしか入れない聖廟にも普通に入れてもらえたという。二人は同じ大学に通う姉妹で、それぞれ宗教学と社会学を専攻しているということだった。
▲ペルセポリスの門
▲世界史資料集で見た楔形文字の実物
中国人のほうは、僕が中国語ができるとわかると、早口でいろいろと話しかけてきて、一方で日本人姉妹とは英語で話していたのだけども、「みんな大学は東京だってことだけど、同じ大学なのか?」と訊いてきた。いやいやまさか、東京に大学がいくつあると思ってるんだ、と思っていたら、果たしてまさか、彼女らは僕がついこの間卒業した大学の学生なのであった。イランで日本人に会うことはほとんどないのに、こんなところで学部こそ違えど同窓生に出会えるとは思わなかった。
▲キュロス2世の墓と伝わる世界遺産パサルガダエ
インドでは韓国人旅行者が多かったけど、イランには中国人旅行者がとても多い。『ロンリー・プラネット』イラン編の中国語版を携えている人なんかはよく見る。シーラーズにあるモスク、マスジェデ・ナスィーロル・モルクにも中国人の個人旅行者が多くいた。このモスクは、礼拝堂のステンドグラスから射し込む光が美しいことで有名で、朝の時間帯に行くと色とりどりの光が礼拝堂を彩るのを見ることができる。
マスジェデ・ナスィーロル・モルクを出て、近くにあるシャー・チェラーグの廟に向かう。廟の入り口で止められて待っていると、国際課の係員というおじさんがやってきて、ガイドとして廟のいわれを説明してくれたり、廟の内部に入れてくれ、写真を撮るのを許してくれたりもした。
▲廟の内部は鏡モザイクで豪華絢爛
さらに国際課の応接室に連れていかれ、チャイも振舞われて、いったいいくら請求されるのか、インドなら数百ルピー出せと言われてもおかしくないなと思っていたら、彼は僕にムスリムが礼拝の際に使う数珠のようなものをくれて、しかもそれでさようなら、これで終わりですと言う。
なんていう素晴らしい国かと感嘆せずにはいられなかった。あまりにも申し訳ないので、有料の博物館を見学して少しでもシャー・チェラーグ廟にお金を落とすことにした。
▲詩人ハーフェズの廟では、小鳥が詩を選んでくれる「ハーフェズ占い」ができる
▲選んでくれるというよりは、選ばせている
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