エリアトラウト沼への招待状
エリアトラウト
エリアトラウトとは、管理釣り場(釣り堀)でニジマス等を対象としたルアーフィッシングの呼称です。
対象となる魚種の多くは低水温を好む為、地域差はありますが北海道~九州に管理釣り場があり、凡そどこでも楽しむ事が出来る釣りです。
ニジマスの養殖は大正15年から行われており、養殖技術の発達により現在ではブランドサーモンの養殖が各地の地域振興として行われています。
釣って楽しい、食べて美味しい。エリアトラウトを始める為に最低限必要なアレコレを釣り人目線でご紹介します。
※筆者の個人的な見解が多く含まれる為、偏りがあると思います。
おかしな部分があったらコメントで補足して頂けると幸いです。
エリアトラウトをオススメする理由
私がエリアトラウトをオススメする理由は大きく2つあります。
美味しい!
先述したように、現在では各地でブランドサーモンの養殖が盛んに行われています。しかも、生食が出来ます。
淡水魚の生食には寄生虫リスクがあると思われている方が多くいらっしゃると思いますが、現在の養殖された魚に寄生虫リスクはありません。
上記の全国養鱒振興協会のリンクを見て頂ければ書いてありますが、要点を抜粋すると
淡水域のみで養殖している為、アニサキスや広節裂頭条虫(サナダムシ)の感染リスクがない。
養殖場で使用する餌に海産魚を原料として使用していても、加熱や乾燥工程を経て工場で生産される配合飼料が使われている為、感染リスクがない。
です。
なので、生食が出来ます。
とは言え、当然ですが全ての養殖ニジマスの生食が一番美味しい食べ方というわけではありません。
大きさ別に筆者オススメの食べ方を書いておきます。
大型
生食は大型の魚が適しています。だいたい50cm以上ぐらいが目安。
大型で良い飼料を食べた魚は写真のように身の赤味が強く、まさにサーモン。手間暇とコストを掛けて育てられた魚は一味違います。
握りの場合には、炙りもオススメです。身の脂が浮いて香ばしさと良く合います。
捌く際にハラスを取り分けておいてハラスは塩焼きに。
丼にする際には酢飯に塩昆布と刻んだガリを混ぜ込むと絶品。
中型
大型のような赤味の強い身でもないけど、小さくもない30~40cm程度の中型が一番悩みます。そんな時はフライ。
けど、フライは面倒で…って時はこちら。ぎゅうぎゅう焼き。
焼いて美味しそうな物を適当に詰め込んでオーブンで焼くだけ。
カマンベールを丸ごと入れておくと、頭を破ってディップに出来て良い。
小型
塩焼きは小型の魚が最も適しています。
養魚場によって飼育環境や飼料の違いがある為、食べ比べも楽しい。
個人的にオススメなのは足柄キャスティングエリアさんと小菅トラウトガーデンさんの魚。どちらの釣り場にもブランドサーモンが放流されていますが、小型の魚も美味しいので釣れた際には是非試してみて下さい。
他の釣りに転用出来る技術と知識が得られる
多くの釣りでは掛かった魚は根に潜られないよう竿を立てて水面まで引き上げ、空気を吸わせて弱らせてキャッチする事が多いのですが、エリアトラウトの場合は真逆な事が多いです。
と言うのも、エリアトラウトでは釣り場のレギュレーションで返しのない針を使う事と、他の釣りに比べて細い刺さりの良い針を使う為、竿を立てて竿の反発力を使って寄せると針が伸びてしまったり、魚が水面からジャンプした際に針が抜けてしまったりします。
なので、エリアトラウトでは竿先を水中に突っ込んで、リールのドラグ(一定以上の負荷がかかるとスプール(糸巻)が滑って糸が出る機能)を使って寄せ、網に入れる時だけ竿の反発力を使います。
この、ドラグを使った釣り方は他の釣りでも大変に有効です。
私が以前、八丈島で釣ったタマンも、エリアトラウトでこの技術を身に着けていなかったら取れなかったでしょう。
また、前途したようにエリアトラウトでは針の大きさだけではなく、太さにもバリエーションが多く、状況で使い分けをします。
また、細い針はすぐに伸びてしまったり刺さりが悪くなってしまう為、針の管理に気を使います。
他の釣りにおいても、針の管理に気を遣うのは当然なんですが、エリアトラウトではよりシビアに選択肢の多い中から行います。
リールや竿、巻いている糸(本線とショックリーダー)、そして針のバランスを多彩な選択肢から選ぶ思考が得られます。
必要な道具
殆どの管理釣り場で道具のレンタルがある為、必ずしも自分の道具がないと始められないって事はありません。
が、どうせやるなら自分の道具の方が変に気を遣わずやれますし、道具選びの楽しさもまたエリアトラウトの面白さなので「最初の1セット」をご紹介します。これで初めてみて、自分の好む釣り方がわかってきたら専用の道具にステップアップし、「最初の1セット」は友人を沼に沈める為の貸し出し用にするのが良いと思います。
ロッド(釣り竿)
他の釣りの竿を流用する事も出来ますが、ニジマスの釣り方は他の釣りと違う部分も多々あり安くても専用の竿を使った方が快適です。
先ずは釣れないと楽しくありませんし。
実売価格8,258円(2022/12/22現在)と安価でありながら、使えるルアーが0.3~2.5gと、小さいルアーが投げられます。
最も多様するスプーン(金属製のルアー)は1.2~1.4gを標準として、それよりも軽い物と、重い物を使う事が多い為、このぐらいの竿がオススメです。
わりと新し目の21年モデル。
実売価格8,093円(2022/12/22現在)と更に安価。
使えるルアーは0.8~4.0gと、先述のマスビートIIIよりも少し重めの物に対応しています。
こちらは私自身が実際に試した事がないので、良さそうではありますが…ぐらい。
リール
こちらは他の釣りからの流用でも問題はありません。
が、エリアトラウトでは小さいリールを使用するので2000番以下の物がオススメです。また、他の釣りと共用する場合は予備スプールがあった方が良いです。
実売価格6,300円(2022/12/22現在)。
個人的に安いリールはシマノよりもダイワがオススメです。
ベールアーム(カチャっと起こして糸の巻取りと放出を切り替えるアレ)の付け根が一体成型ではないもののシームレスに繋がる形状をしており、糸が変に引っ掛かる事が少ないです。
番手は1000Sか2000Sを。
この数字が大きい程、本体のサイズが大きくより糸を沢山巻く事が出来、ハンドル1回転での糸巻量が多くなります。
エリアトラウトではルアーをゆ~~~~っくり引く必要がある為、小さい番手を使用します。
末尾のSはスプール(糸巻部)が浅い、シャロースプールのS。
1000と2000の違いは上記したように糸巻量の差なのですが、スプールの径が違い、1000の方が小さく2000の方が大きい。
スプール径は大きい方がライン(糸)のトラブルが少なくなります。
使う糸の素材や銘柄に拠ってもライントラブルは変わりますが、トラブル少なく釣りをする事を優先するなら2000を選んでおいた方が無難でしょう。
こちら以前は激安だった中国メーカーのリールなのですが、これが軽くて意外と作りも良いぞ…?と好事家の間で話題になった結果、現在プレ値でミドルクラスのリールぐらいの値段になっています。(2022/12/22現在14,600円)
もし、安価に戻っている事があったら買ってみても良いかも知れません。
上記のダイワ レブロスより少しお高め実売価格12,948円(2022/12/22現在)。
「どうせ買うなら長く使える物を」なら、こちらもオススメ。
ロッドの使いまわしはあまり出来ませんが、リールはわりと使いまわせるので、少し奮発しても良いと思います。
と言っても、サイズが小さいので使い回すとしたらアジ、メバルぐらいでしょうか。
ライン(糸)
ラインは消耗品ですし、ロッドやリール程高価な物ではないので色々と試して好みの物を見付けるものですが、とりあえず最初に選んでおくなら という前提でご紹介します。
実売価格982円(2022/12/22現在)。
150m巻きで75mの箇所がシールで目印があり、2回に分けて使えます。
ラインには様々な種類がありますが、最初はナイロンラインがオススメ。
ナイロンラインは他の物と比べて伸びが良い為、魚を掛け易く、掛けた魚をバラし(針から外れて逃げられてしまう事)難い。
伸びてしまう分、魚がルアーに軽く触れたような時に手元にフィードバックが少ないというデメリットもありますが、そういった繊細な釣りは慣れてからでも良いでしょう。
また、色が付いているラインもありますが、そういったラインの場合はショックリーダーとして先端に透明の別なラインを結束して使う為、結束の仕方の学習コストや手間がかかる為、最初は透明なラインを選んだ方が良いです。
ルアー
ルアーは竿に表記された重さの範囲内であれば好みで選んで問題ありません。
エリアトラウトでは使うルアーが多岐にわたり、網羅する事が難しい為、とりあえず代表的な物からいくつかオススメをご紹介します。
スプーン
大きさ(重さ)は0.9g/1.2g/1.8gぐらいを目安に、色はからし色/オリーブや茶色/赤金ぐらいを揃えておくと良いでしょう。
実際にはカラーローテーションをする為にもっと多くの色を揃える必要があるのですが、一度に全てを揃えるのは難しいので、とりあえずは上記3色ぐらいを持っておけば大丈夫なはずです。
管理釣り場では、池や川に魚を放流してくれる事があります。
放流直後は魚の食い気が立ち釣れ易くなるので、赤金のような目立つ色を使います。
クランク
クランクは投げて巻くだけで釣れちゃう時もあるぐらい簡単なルアーではありますが、巻く早さや泳がせる水深で大きく釣果に差が出る事もある奥深いルアーでもあります。
種類も豊富ですが、とりあえず私のオススメを。
ミノー
私が個人的には一番好きなタイプのルアーです。
このルアーはゆっくり巻くだけでも良いですが、真価を発揮するのは
「ロッドを動かさずリールを1回転巻き、止める」を繰り返すマジックジャーク。また、リール1回転ではなく半回転のデジ巻きも良いです。
このルアーはリールを巻く事でリップ(先端のクチバシみたいな所)で水を受け潜りながらブルブルとアクションします。
そしてフローティングと呼ばれる、巻いていないと浮くタイプなのでリールを巻くのを止めると水中で浮上します。
マジックジャークでは、リール1回転で潜った分を浮く間だけ止め、一定の水深を潜る浮くの繰り返しになるよう操作します。
その他
初心者の方にオススメされるルアーの筆頭です。
ビーズに針金を通しただけの物ですが、これを指にグルグルと巻き螺旋状に形状を整えて使います。
水中でルアーが回転するよう、少し早めに巻くだけで魚が釣れます。
金属製のルアーでメタルバイブと呼ばれるタイプのルアーです。
こちらは投げたら底まで沈め、底に着いたらすぐに~50cm程度竿先を上げブルブルッとアクションさせ、持ち上げた分のラインを巻取りながら竿先を下げ…を繰り返します。
魚が多い釣り場だとスレ掛かり(魚の口ではなく体に針が刺さってしまう事)してしまう事がある為オススメ出来ませんが、そうでない場合にはよく釣れる優秀なルアーです。
私が代表を務めるタイシン合同会社のものづくりブランドZattaの製品です。
ここでオススメした竿には少し重いですが、使えないって事はありません。
完全に水に浮くタイプのルアーで、竿先でチョッチョッとアクションを付けるタイプのルアーです。連続して行う事で右に左にターンを繰り返すドッグウォークと呼ばれる動きをします。
魚が水面を意識しているタイミングであれば、ルアーを魚が追いかける姿が見えて大変楽しいルアーです。
また、酒瓶のキャップ側に針を取り付ける作りなので、釣れた魚の写真を撮ると魚がお酒をラッパ飲みしている姿の写真を撮る事が出来ます。
フック(針)
市販のルアーの多くは針が最初から付属しているので必須というわけではないのですが、先述したように細い為伸びてしまう事があります。
また、魚の食べ方が浅い(ちょっと咥えてみるけど、すぐに吐き出しちゃう等)の際にフックのサイズや太さを替える事で釣れる事もある為、予備を持っておくと安心です。
魚のサイズが30~40cm程度ある釣り場ではこのSP-31が基準になります。
SPはスプーン用(針を取り付ける輪の部分が針に対して直角方向)。
ですが、最近ではスプーン用のフックを取り付ける前提で設計されたルアーが多い為、SPシリーズで揃えておくと良いでしょう。
ルアーに対して横を向いてしまう場合はスプリットリングを1つ追加で取り付ける事で対処できます。
31は太さを表しており、21がより細く、41はより太くなります。
小さい魚が多い釣り場では21でも良いでしょう。
その他
必須ではありませんが、あると便利な物。
元は医療器具ですが、エリアトラウトでは魚から針を外す事に使います。
これがあれば魚体に触れずに済むので、手が魚臭くなる事もありませんし、魚へのダメージも最低限に出来ます。
針の交換をする際にスプリットリングを開く器具です。
これを使わずに針の交換を素早く出来るようになった方が良いのはもちろんなのですが、エリアトラウトで使うスプリットリングや針はとても小さいので最初はあった方が良いです。
私は何年も釣りをしていますが、未だに使っています。
後は帽子とサングラスはあった方が良いです。
針の付いた物を振り回して投げる為、身を守る意味もあります。
サングラスは目の保護はもちろんですが、偏向サングラスであれば水中を見る事が出来ます。
水中の様子を見る事で有利に釣りする事が出来ます。
3Dプリンター
最後に、必要な道具ではありませんが私が個人的に大変オススメな釣り具です。
エリアトラウトで使うプラスチック製のルアーはだいたい1,000~2,000円なので、ハマって釣りを続けるのであればすぐに元が取れます。
3Dプリンターでルアーを作る際にはこちらのサイトをお役立て下さい。
オススメの機種
実売価格24,999円と安価な為、ルアー13~25本と考えたらすぐに元が取れる範疇。
ただ安価なだけではなく、ユーザーが多い事からトラブルシューティングはもちろん改造例へのアクセスが容易。
250mm/sの高速印刷に300℃の高温ホットエンド、ダイレクトエクストルーダーで様々な素材を扱えます。
実売価格は79,999円と少々しますが、スペックを考えたら激安です。
今となっては少し古い機種にはなってしまいますが、3Dプリンターでルアーを作っている人では最もユーザーが多いプリンターです。
箱型による庫内温度の安定で印刷ミスが大変少なく、メーカー純正のスライサーが使い易くルアー作りを簡単カジュアルにします。
実売価格は76,854円。
また、3Dプリンターでルアーを作る際にオススメなのが
3Dプリンタールアー造形用フィラメント
こちらは3Dプリンターで扱いやすく、しかも生分解性のあるPLAフィラメントでありながら低比重でプリント後の切削性が良く、ルアー作りの為に作られたフィラメントです。
3Dプリンターで作ったルアー限定の釣り大会
https://fabanglers.net/で「3Dプリンターで作ったルアー限定の釣り大会」を不定期開催しております。
優勝賞品は3Dプリンター!
レンタルルアーがあるので、自分で作っていなくても出場して優勝して3Dプリンターを獲得する事が出来ます。
エリアトラウトを初めて3Dプリンターをゲットしてみませんか!?
最後までお読み頂き有難う御座います。モチベーション維持の燃料にサポートいただけると有り難いです。