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大学院生のときにしきりに聞かされた言葉があった。「面白いことをやれ」という言葉だ。何度も聞かされているうちに「そんなのひとそれぞれじゃないか」「あんたはそれを面白いと思うかもしれないけど、俺は思わないね」などというひねくれた気持ちが生じた。

「面白いこと」というのは確かに人それぞれ違う。Aさんが面白いと思っていることをBさんが面白いと思うとは限らない。誰もが面白いと思うことなんて、そうそうない。

こんな風に「面白いことをやれ」という言葉をネガティブにとらえた時期があった。だが、このことに関しては、私がこの言葉の真意を見失っていたと断言できる。

「面白いことをやれ」というのは「『自分が本気で』面白い『と信じている』ことをやれ」なのである。他人が面白いと思うことをやれ、ではないのだ。

では、この「自分が本気で面白いと信じていること」をやると何が起こるだろうか。これは本当に不思議なのだが、他人から面白がられるのだ。本気で面白がっている人というのは、とても面白い。こういう人と出会った経験は、誰にでも1度や2度はあるのではなかろうか。

前回の記事で私は大学院でのある種の失敗を告白した。しかし、実のところ私は本当に自分が面白いと思えることを発見してそれを研究として昇華し、なんとか学位を認められた。本当に辛い時間ではあったが、最終的には大学院に行ってよかったと思っているし、「面白いことをやれ」という言葉に出会えて本当によかったと感じている。

さて、今の自分は面白いことをやっているだろうか。面白いことをやろうとしているだろうか。できない言い訳ばかり考えていないだろうか。他人が面白いと思うことをやろうとしていないだろうか。

放っておくと時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。面白いこと、やっていこうぜ。

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