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【第十二歩】 映画「怪物」を2回観たの巻

映画「怪物」を観た

ドラマ「unknown」にはどうにもハマりきれないワタシであるが、最終的な感想は全話終了してから書こうかと思っている。
今回は、いよいよ公開された映画「怪物」について書くことにする。
言うまでもないが、高畑充希はこの映画に出演しているものの、おそらくはそれほど出演シーンは多くはないだろう。
とはいえ、ファンならば新たな「高畑充希」が観られるのではないかということで、過剰な期待をしてしまうのである。
そんなわけで、公開2日目(2023年6月3日)に観て、その翌日(2023年6月4日)もう一度観た。
ワタシはYahoo!映画に観た映画の忘備録として、レビューを書いている。
観た映画はDVDなども含めできる限りすべて書いているのだが、今回は観て早々に記載し、アップした。
(ネタバレ含む)
yahoo映画「確かに怪物」
https://movies.yahoo.co.jp/movie/385771/review/c37659a3-c01a-4f4b-9e5e-5b4be9769469/

もったいない「高畑充希」について

この映画での高畑充希はもったいないとしかいいようがない。
登場人物の中では比較的、普通の人物として描かれている。
それならば、高畑充希である必要があまりないと思うのだ。
保利先生(永山瑛太)の恋人が鈴村広奈(高畑充希)なのだが、まず、二人の登場シーンでビル火災に遭遇する。
そのシーンの前に、保利がこのビル内のガールズバーに出入りしていたのでは?という噂が出てきているが、ビルから遠く離れた現場にいることで、ふたりはこの火災には無関係であることが証明される。
保利は、第一部で異常な教師に見えるのだが、第二部では生徒に寄り添う普通の教師だ。
ただ、性差に関する認識が古い。
そのために、少年ふたり(麦野湊、星川依里)と溝が出来てしまう。
ということで、保利については二面性、もしくは多面性が十分にあらわれ、それを「怪物」と称してもかまわないと思われる。
だが、広奈についてはそうでない。
(もちろん、脇役だからというのもあるだろうが…)
広奈はただの気難しい女としてしか、描かれていないのが非常に残念である。
できれば、最後まで保利も広奈もビル火災の容疑者とも思えるようなポジションであった方が、この映画にとって、深みが出たようにも思える。
ワタシが思うのは、高畑充希の優れているのは人間の二面性を表現できるところにある。
もちろん、プロの役者ならば多くがたやすくそのレベルに達しているだろうが、個人的には高畑充希の演技力には並々ならないものを感じている。
わかりやすいのが、一人二役演じている「DESTINY 鎌倉ものがたり」だ。
(※最下部のリンク先の堺雅人のインタビュー参照。堺雅人に激しく同意。)
だからこそ、もう少し鈴村広奈の「怪物性」を描いてほしかったと思っている。
是枝監督がラジオ番組に出演していて話していたのだが、この映画の脚本は最初3時間くらいあったものを2時間にまとめたという。
勝手な思い込みにすぎないが、もしかすると広奈に関して、もっと深く書き込まれていたのかもしれない。
そもそも広奈と保利はどこで知り合ったのだろうか?
広奈の職業ははっきりしないが、水商売の女ということであれば、ビル火災にも関係してきそうなのである。
そうするとこのキャラクターにとても奥行きが出てくる。
ということで、この映画での保利の恋人、鈴村広奈(高畑充希)はもったいないと思うのである。

この映画はサスペンスか?

全体的なこの映画の感想について書いておこう。
結局、この映画はサスペンスではない。
様々な出来事の犯人が特定できない。
一度観ただけではとてもわかりにくく、最低2回は観る必要がある。
個人的にはこれまでの是枝裕和の映画は生理的に受け付けなかった。
作為的なドキュメンタリータッチが気になってしまうのだ。
だが、この「怪物」に関しては、そこまでにはならなかった。
それはおそらく、脚本のせいかと思っている。
三部に別れ、それぞれが重層的に絡み合う作品だからというよりも、基本的には、重要なことはすべて「言葉」で表現されていたからのように思う。
「家族」「男らしさ」「幸福」など、大人と少年ふたりの乖離は、なんとなく見せるのではなく、きちんとセリフの中であらわされていた。
これも2度観てわかったことである。

ちらつく「unknown」の影

完全に偶然のはずなのだが、この映画には、ドラマ「unknown」を想起させる「もの」「こと」が登場する。
・パピコ
・週刊誌記者+カメラマン
・とある事件(殺人または火災)の犯人が登場人物の中の誰か?という点
これらは、単なる偶然とはいえ、高畑充希ファンならば、一度目観たときには、あっと思うはずである。
だが、2度目ならば、それらもいくらかは普通に観ることができる。
そして、保利が面談中に飴を口に含むシーンがあるが、それは、広奈が渡したものだったことも2度目観て、わかった。
いろいろな雑音もあってか、やはり最低2度は観ないとこの映画はよくわからない。
2度観てもわからないものはたくさんあるが…。

坂本龍一の音楽

期せずして、坂本龍一の映画音楽としての遺作となったわけだが、おそらく本人もその覚悟はあったのではないかと想像する。
もともと、ワタシは坂本龍一のファンでもあったので、いくつかの楽曲は既に耳馴染みのあるものであった。
だが、今回、この映画用に作成された「Monster1」「Monster2」という曲はたいへん素晴らしい。
もはや想像するしかないのだが、全曲オリジナルだったならば、もっと素晴らしい映画になっただろう。

最後に

カンヌにも行けず、「unknown」の撮影をしていたはずの高畑充希だが、今後の出演映画に期待したい。
個人的に「映画」の高畑充希の現時点での代表作は「こんな夜更けにバナナかよ」だと思う。
中村獅童が是枝作品への出演を監督自身に直談判したことを完成披露試写会で語っていた。
ワタシは、是枝作品が決して優れているとは思わないが、カンヌの常連でもあることから俳優にとっては、出演してみたい監督の一人ではあるのかもしれない。
高畑充希自身がどう思っていたかは定かではないが、できれば、今後、主役級の映画で、カンヌに行ってみてほしいと切に願うばかり。
そう言えば、「DESTINY 鎌倉ものがたり」には、安藤サクラも出ていた。
この映画では、安藤サクラは死神役なのだが、ワタシはメチャメチャ好きなんですよね。


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