自分自身のこと。シン

心という名前。
父親のように接してくれた人からつけてもらった。

名前を聞かれたけどその時はなかった。
【どうせ消えるし名前は要らない。】
突っぱねた。

でもあの人は「名前がないと困るでしょう。」

困るも何もないんだけど。鬱陶しいな。

「ん〜‥心(こころ)。こころくんは?」
「ええ‥なんでこころ?」
「陽の“こころ”だから。君は陽のこころなんだよ。」
「へ〜」

心底どうでもいい。
こころだろうがなんだろうが。
みんながみんな俺を、俺達を気味悪がる。
例えこころだとしても 俺は消える。
その後陽がどうなろうが知ったこっちゃない。

「こころが駄目かぁ‥」

結構しょぼついてる、でも諦めずに話しかけてくる。俺からしたら何だコイツは。
なんで話しかける。夕飯の話をする。
知りたくないことまで知らなきゃいけない。
名前があってもなくてもこのオッサンにとって俺はあくまで「陽」でしかないのに。
“俺”と話さないで。いや、話してほしい。

少しばかり見えた気がした。 名前をつけられることに喜びを。

「シン‥」
「しん?」
「名前。ココロは嫌。同じ漢字でシンにする。」

良かったって笑ってくれた。

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あの頃、陽は絶対的に困っていたと思う。
というか内側で俺は暴れ回る存在であり外側でも人に怒鳴り散らし怒りをぶつけまくって絶対的に自分が正しいと思っていた。

何より何かあったら消えようとしている。


内側のリーダー格。彼は責任者であり自己犠牲を厭わない。
誰かに何かを言われても絶対的に陽を守る存在。
怒鳴られる 陽が傷つく 、自分がする。
力仕事する 陽が疲れる 、 自分がする。
面倒くさいことは、自分が 、自分が 、自分が …

マイナス点を全部進んで受け入れる。
意味がわからない。全然理解出来ない。

陽が言った。
「なんか、二人‥兄弟になれば?」

お互いが「なんでコイツと‥」って言うしかない。何を考えて陽が兄弟って言ったのかアイツ自体もわかっていなかったみたいでめちゃくちゃ顔歪んでたのをはっきり覚えている。笑


ある日、ODをした子がいた。
持ってる薬が無くなって手元に風邪薬を飲み干す。耳鳴りとフラつき、とにかく吐き出さなきゃいけないと思った。
みんな吐こうとしたけど失敗していく。

ODした子は内側で交際していた子だったのもあり、俺が吐くことにした。
水を飲んで吐いて出来るだけ空にした。


そんな事があったからか、俺は食べることが苦手。吐き出すことを考えてしまう。
それと同時にトイレに行くだけで嘔吐するようになった。反射的に吐く。胃に何もなくても嘔吐くようになる。

誰かのために何かをしなければという考えがゆっくり 染み出す。

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統括がぶっ倒れた。
あまりにも色々抱えなければいけない。
抱えきれなくなり、姿を眩ませる。

ポツンと空いた椅子が目の前にある。
俺は座ることを選んだ。選んだら最後、もう自由にはなれないとわかっていた。


マイナス点を進んで受け入れる、同じものを一旦背負ってみた。
びっくりするくらいシンドイ。シンドイなんてもんじゃない。面倒くさいことをわかった上でやる。嫌われる事も貶される事もわかっていてもやる。優しいだけじゃいけないこと。
もしかしたら救いがないと思いながらも救われたいと、陽を 皆を少しでもいい方に導こうとする。

折れてはいけない。やってはいけない。
でもやらなきゃいけない。
見えないルールに縛られながら過ごす。

守るためなら誰かを傷付けてでも守る。
間違っていることに後々苛まれてもアイツはやっていた。
多分見えていた。「自分がやらなきゃ本当に誰もやらないし出来ない。」「ことの深刻さに誰も気付いていない。」

自分さえも見えていないことがあり、気付けていないことがある。
陽に伝わらないこと、内側に頼られること
生きようとしても死のうとするやつもいる。

それでも みんなを愛していること。それと同時に出しはしないけど憤りが溜まっていること。

感情グッチャグチャになったんだって頭に浮かんだ時俺まで持って行かれそうになった。
こんなんになるくらいなら「少し手伝う」って素直に言えば楽になれたのかな。

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ふらっと帰ってきた。
「ただいま」って。「少し休んでた。ごめんね、大変だったよね。もう大丈夫」って。
みんな緊張しきっていた顔がふにゃふにゃに柔らかくなるのがわかる。
風向きが変わった。向かい風から追い風になる、コイツがいるだけでみんな安心するんだ。って。

悔しい反面、ホッとする。


信頼されることの難しさ。千切れるような感覚。

負けたくないと思ったのも確か。笑


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信頼を得られるように努力のターン。

内側・外側関係なく人と交流をしていった。
人から相談されるようにもなる。
告白されることもある。付き合いもした。

内側の子で一番アタックかけにくかった子
蒼輝。あの子は本当に何一つ他人に向ける感情がない。対話ができない。びっくりするくらい避けられる。下手したら脅される。笑
それでもめげない。

リアルな親戚にも「シンは話しやすい」と言ってもらえた。
そうなろうと続けた努力が少しずつ実っていく。


失敗を繰り返しながらも諦めなかった。


何かが誰かに伝わればいいな。
こんな事があるんだって。少しでも、何か変われば。

どんな存在でも生きてることを否定しない。
頑張ってきたって誰にも言わなくていいからココロの底から思ってほしい。

諦めないで。
それか生きていくことは辞めないでほしい。
何度もチャンスはめぐってくる 作っていけるはずだから。
俺も頑張るから。笑

心でありたい。心を持って生き続けたい。
きっと大丈夫だと何度だっていいたい。


シン


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