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【一幅のペナント物語#49】キミはこの謎のオブジェを知っているか?

◉今回のペナントも変化球。東名高速の「浜名湖サービスエリア」である。西から車で首都を目指すときに、誰もが一度は立ち寄ったことのある大規模サービスエリアではないかと思うのだが、まさかサービスエリアでもペナントを作っているとは思わなかった。このパターンでいくと、西宮名塩とか淡路島とかのあたりのSAでもペナントがあったりするのだろうか。ペナント制作年代は特定が出来ないのだが、施設の供用開始が1969年(昭和44年)というから、少なくともそれ以降になるだろう。

◉「TOMEI EXPRESSWAY」の英文字の下に「Hamanako SERVICE AREA」と赤い文字で書かれている。「Hamanako」の部分だけ、昭和ファンシーチックな字体になっているのが面白い。右の先っちょ部分には東西をつなぐインターチェンジを表現したような図案。そして左側に浜名湖とその上を走る赤い橋脚の「浜名湖橋」のイラストが描かれている。使われているカラーはこの頃スタンダードな、赤、青、緑、黒の4色。モールもペナント全盛期のつくりっぽいので、昭和40年代の一品で間違いなさそうだ。

◉今回、最後まで謎だったのが、左のイラストでひときわ目立つ黒い塔のようなオブジェの存在だった。僕も過去に浜名湖SAには立ち寄ったことがあるが、こんなものを目にした記憶はないし、いろいろな画像を見ても、こんなものが浜名湖SAにある痕跡がない。大きな橋の近くのSAとかで、こういう模型が展示されていることがあるので「これはもしかして、浜名湖橋の橋脚構造を示したものなのか?」と思い、いろいろ調べてみるが浜名湖橋で採用された"ヤジロベエ工法"とも違うようだ。

◉改めて、本当にこういうものがSAにあったのではないかとググりまくったところ、『みんから』のてったんボックスさんという方の2015年の投稿で、こんな画像を発見した。

出典:浜名湖SA展示「浜名湖サービスエリア40年の歩み」より

詳しくは以下のリンクで確認できるが、ペナントのモチーフとあきらかに合致するシルエットだ(写真左)。正体は駐車場の隅に立っていた「照明塔」だったのだ。この照明塔、1999年(平成11年)のリニュアル時に駐車場拡大のために解体・撤去された(写真右)そうなので、現在のSAのどこを見渡しても見つかるわけはないのだった。

◉ペナントを眺めていて面白いのは、こういう時だ。今は失われてしまった過去の観光シンボルを再発見できること。その過程、謎解きの時間は本当に面白い。少なくとも今回の照明塔も、ペナント製造当時に「なにが浜名湖SAのシンボルたりえるか?」という思案の結果、選ばれたモチーフだったわけで、それが時代の変化とともに役目を終え、姿を消すという栄枯盛衰の物語に「今あるものが決して永遠ではない」ということを改めて感じずにはいられないのである。

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