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【一幅のペナント物語#12】ここにしかない、豪華絢爛な「松江城」

◉日本らしさ全開の観光地といえば、やはり城である。ペナント界でも引く手あまたの人気者ではないか、そんなふうに思う。もちろん実数なんか解りもしないけど、天守閣を持つ城はだいたいペナントになっている気がする。

◉というわけで、我が故郷が誇る千鳥城こと「松江城」。お城のペナントはまあだいたいこういうレイアウトになりがち。なのでデザイン的には目新しさはないのだけど、右のほうに書き連ねられた歴代城主の名前には目が行く。堀尾→京極→松平の大きな変遷は、地元民ならだいたい語れるし、堀尾三代や松平治郷の別名が不昧公とか、そういうのは基礎知識レベルなのだけれど、こうやって松平の系譜を見ることはあまりなくて「結構、城主経験者多いのね」と新たな発見。全部暗記しようとは思わないけど、ちょっと賢くなった気分だ。

◉そして、このペナントが、なによりペナントらしさを発揮しているのはお城の配色だろう。日頃見慣れている者ほど「? これ松江城だよね?」と一瞬戸惑ってしまうくらい、城マニアなら「これじゃない!」と怒りそうなくらい実物とは異なるカラーリング(笑) 緑の瓦屋根が一番クセツヨな気はするが、本来なら黒い外壁の板張りが赤と金ラメになっているせいで、なんだか安土桃山城みたいである。質実剛健が魅力の松江城が、絢爛豪華に(笑) 松江城のデッサン自体はディティールまでしっかりしているだけに、余計に違和感を感じてしまうのだろう。技術的には本物の色に近付けることも出来たはずなのに、あえてそっちに行かず、僕らのイメージを超えてやろうという制作者の、感性の迸りを感じずにはいられない。写真では絶対に味わえないものが何なのかを、知っている人の仕業である。お見事。

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