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【一幅のペナント物語#11(2)】カラバリから推察する製造プロセス

◉以前、#11として紹介した「那智の滝」のところで配色モンダイについて触れたことがあった。

僕ならば、ペナントの生地に黒や紺のものを選んで、主線を白で描き、松明の炎をオレンジや朱にすることで、神秘的な雰囲気を醸し出したいと考えたりするのだが、そこをあえての赤にするのもまた、ペナントデザイナーの美的感覚なのかもしれぬ

【#11】「年に1度しか見れない謎の巨大松明」より

そう書いた後で、実際に黒い生地のバージョンを見つけてしまった!というオチで締めくくっていたのだが、ヤフオクをチェックしていたら、わりと引き取り手がなかなか出てこない様子に見えたので「ならば私が養子にもらい受けよう」ということで入手してしまったのだ。やれやれ。

実際にもらい受けた「那智の滝」黒バージョン

実はこの黒バージョンを見つけた直後、自分のストックの中に白バージョンがあるのを見つけていた(それがトップ画像のやつ)ので、どうせなら3色セットで持っておこうと思ったのだ。こういう時、生来のコレクター気質が恨めしい。

◉実際に3つを見比べて分かったことは、図案の版は同じものを使っているということ、使用する色数も同じ、ということである。白バージョンは、白を黒に置き換えることで合計4色にしてある。なんとなく使われている青や緑の色味は違う気もするが、生地色の影響もあるかもしれないのでなんとも言えない。ちなみに図案は同じなのだが、白バージョンだけは生地の素材や房の素材が違っており、そこにはどういう理由があるのか不明だけれど、少なくとも製造時期は違うのかもしれない。

◉『ペナント・ジャパン』(谷本研・著/PARCO出版)の記事を見る限り、ペナントの印刷は原画を元に、色別の凹版を作って刷り重ねていくような感じだ。塗りにあたる部分を先に刷って、最後に図案の主線となる部分を刷っているようだ。今回でいくと、白や黒がそれにあたる。

最初に発見した「那智の滝」赤バージョン

◉こうしてみると、やはり基本は白地ベースに黒の主線で、黒や赤や他の色の生地にあわせて必要な色変えをしてバリエーション展開している印象だ。「とすると、今手元にあるカラー生地のペナントにも白生地のバージョンがありそうだな」とか考えだすと泥沼のコレクター地獄に陥りそうなので、これ以上考えるのはやめておこう。ただ、こんな感じでカラーバリエーションを発見したら、リスティングの意味で都度、ここにはアップしていくつもりなので、よろしくどうぞ。

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