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【一幅のペナント物語#34】颯爽たるスキーヤー。これは飾ってもいいやつ

◉スキー場のペナントは、まあだいたい似通ったモチーフとデザインになるので、そういう観点では面白みに欠けるのだけれど、その中でも全体の配色やスキーヤーのアングル、右先っちょあたりにワンポイントで入っている雪の結晶など、僕の心をくすぐるポイントがちらほらあった、このペナントを紹介したい。時代的には昭和40年代前半、もしかすると30年代頃?なムードの漂う作りの一品。

◉・・・というか、どちらの「YAMADA」さん? という素朴な疑問を出発点に調べてみる。「YAMADA」ときたら、おそらく日本語では「山田」と書くのだろうが、日本中に星のようにある名前なので「SOUTH SHIGA」のショルダーが無ければ特定は難しかったかもしれない。スキー場という文脈でたどっていくことで、この「SOUTH SHIGA」が「南滋賀」ではなく「南志賀」らしいということがわかったので、さらに深掘っていくと「YAMABOKUワイルドスノーパーク」というスキー場にたどりついた。2010年に山田牧場スキー場からこの名前に改名したというので、ここで間違いないだろう。

コース全図。山田牧場の敷地が冬にはゲレンデに変わる
(YAMABOKUワイルドスノーパーク HPより)

なんでも日本最長13kmのロングコース「タコチコース」が有名らしい。

タコチコース全容。13kmも滑ったら僕は死んでしまうかもしれない。でも面白そう!
(YAMABOKUワイルドスノーパーク HPより)

で、やっぱり「タコチ」が気になっちゃうわけである。どういう意味? でググってみるも分からず。同じように気になった方のブログ(下記)が面白い。現地のスタッフなどに次々聞いてみるも誰も知らず、最後に役場まで問い合わせたら昔から「たこち原」と呼ばれてた牧草地だったのがネーミングの由来と分かったものの、役場でも「たこち」の意味はわからなかった、というめちゃくちゃ消化不良な展開になっている。最後にブログ主さんが、アイヌ語の「タ(採る)」と「コチヒ(場所)」という言葉が元になっているのでは?と推察しているが、僕もそれが正解な気がする。

◉ペナントの話に戻るのだけど、このペナントで一番好きなポイントはスキーヤーのアングルだ。ゲレンデの向こうを遠く見つめる姿を、下から煽り気味に描いているのがいい。おのずと背後の山々の高さも強調されることになっている。そして、前に踏み出した右足のスキー板がペナントの天地を貫いている躍動感ある構図は、デザイン的な面白さもある。


【余談】ちなみに滋賀県の南部、甲賀市にも"やまぼく"こと山田牧場さんがあるのだが、ここはスキー場営業はしていなさそう。でも、チーズケーキが美味しそうなのでリンクを載せておく。

おお、なんか南阿蘇にも山田さんを名乗る牧場がある。山田さんは全国的に牧場経営する一族なのか?

YAMADAと聞くと養蜂農家をイメージしがちなBOKU。

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