「バーチャルおばあちゃん」は視聴者から愛されている

VTuber界隈で異彩を放つ「バーチャルおばあちゃん」中の人は「すあだ」さん。
僕は彼女(?)のファンだったりします。

このバーチャルおばあちゃんなんですが、検索すると「不謹慎」とか「アンタッチャブル」とか、「他のVTuberから総スルー」とか、中々にヤバそうな雰囲気を醸しています。

しかし、実際に動画を確認すると、いわゆる「炎上系」や「物申す系」と呼ばれるVTuberやYouTuberとは、雰囲気も視聴者層も大分異なることが感じられると思います。

今回はその辺りについて、僕なりに言語化して解説していきます。

具体的に炎上系とどこが違うのか

誤解を恐れずに表現すれば、炎上系の連中というのは人間の悪意を食い物(エンタメ)にしているんです。

インターネット上――とりわけ匿名のコミュニティ内だと、とんでもない暴言や差別的表現が飛び交っているじゃないですか。
これって、普段言いたいことを言えなかったり、ストレスが蓄積していたりする「一般の人々」がその鬱屈した感情を吐き出した結果なんだと思うのですよ。

で、そうしたネガティブな感情を、時には特定の誰かに、またある時には自分自身に向けさせて、「意図的に」悪意や攻撃性を想起させて視聴数を稼ぐのが、彼らの手法です。

ところが、バーチャルおばあちゃんの場合、それとは少し違う。
世間で問題となっている話題を持ち出しつつも、基本的にはそれを笑いに転換したいということが伝わってきます。
何だったら、不謹慎だといわれることそのものが笑いになっている。要は風刺に近いものであると。

そして、バーチャルおばあちゃんのもう1つの特徴が、極端な思想・主張を展開しないという点です。

「慰安婦」とか「アングロサクソン」とか、「ババア」だとか「LGBT」だとか、なかなかデンジャーな単語を用いるわけですが、実際におばあちゃんはそれらに自らの思想を付随させて何かを語ることは殆どありません。

揶揄はするので、そのこと自体が不快に思われることはあるでしょうが、根本的に特定の層を排除するような表現はしていません。
これは、中の人である「すあだ」氏が世界の歴史に非常に明るく、何かが一方的に悪いというようなものの見方をするタイプではないからなのだと思います。

だから、おばあちゃんが不謹慎な表現をしても、視聴者側もそれをネタとして受け止め、「このババアはまたしょうもないこと言ってんな」と、プロレス的なやり取りが行われる。
つまるところ、バーチャルおばあちゃんは他の炎上系と称される人たちと違って、「本人が愛されている」んです。

ま、子供には見せられないという点では一緒なんですけれどね!

他のVTuberとの違い

最後にもう一つ。
炎上系とかそういうことでなく、純粋に「VTuber」という括りで見た場合、バーチャルおばあちゃんという存在が他とは何が異なるか。

(極端な表現ではありますが)VTuberって、その殆どが二次元的なカッコよさ、可愛さを追求した容姿に、アニメ的声優を充てたものであり、結局のところ「萌え文化」に迎合するものと捉えても良いと思うのです。
しかし、いくらガワが萌えて声が美しくとも、話や内容そのものが面白いかというと、これは全く別の話。

バーチャルおばあちゃんに関しては、そもそもガワも萌えないし、中の人もおばあちゃんじゃない。比較的若いお兄さん。
この時点で既にちょっと面白いわけですが、その上で中の人がそれをデフォルメしまくった表現を行っているもんだから、尚更面白い。もちろんそれを表現するためのベシャリも巧い。

以前ひろゆき氏がニコニコ超会議で発言していたとおり、結局は中の人自体が面白いかどうかが肝で、バーチャルおばあちゃんはまさにこれに当てはまる存在なのだろうと思います。


……とまぁ、ここまで長々と書いてきましたが、仮にすあだ氏がこの文章を読んだとしたら、きっと「お前は何をツマンネー分析なんてしてるんだよ」と笑い飛ばされることでしょうが。


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