見出し画像

相手が右組か左組か分からない場合の組手の方法論

皆さんは、柔道における組手の攻防について、どうお考えでしょうか。
選手によっては、「柔道の勝敗は組手が8割」とまで言う方も存在します。
そして、組み勝つためのセオリーは、相四つか、ケンカ四つかで大きく異なってきます。

しかし、有名選手同士であればともかく、一般の大会に出場する選手がどちらの組手であるか、事前に把握することは困難です。
今回は、そのようなケースにおいて、組手をどう取っていくかを考えていきたいと思います。

…が、まずはその前に、基本的な組手のセオリーをおさらいしておきましょう。

組手のセオリー

まず、組手の攻防の基本的なセオリーとしてよく言われている事として、
・相四つの場合は、自分の引手から取る
・ケンカ四つの場合は、自分の釣手から(出来れば下から)取る
というものがあります。

この方法を取った場合、(詳細は省きますが)組手が上手い選手であれば、一方的に組み勝つような展開に持ち込める可能性もあります。

しかし、繰り返しになりますが、有名選手でもない限り、事前の組合せ発表の段階で相手がどちらの組手かを知ることは困難です。
そこで次の項では、相手のことを事前に調査出来なかった場合に、組手をどう攻略するかを考えてみます。

相手の組手が当日まで分からなかった場合の対処法

相手の打込や試合の様子を事前に見ておく

これは当り前のようですが、非常に重要です。
皆さんは、会場でギラギラと対戦選手を探している人を見たことはありませんか?
あれは殆どの場合、相手選手の打込等の様子を見て、どちらの組手か、得意技は何かを調べています。

つまり、背中のゼッケンを逐一チェックして、相手選手を探し出す段階から勝負は始まっているわけです。

もし運良く相手選手を見つけ、打込まで観察できたのであれば、上記のセオリー通りの組手の攻防をしかけるのも良いでしょう。

相手に応じて組手を変える

ごく稀に、右・左どちらの組手も出来る選手がいます。
そのような方の場合、例えばケンカ四つが得意なら、相手が右なら左に、相手が左なら右に構えることで、常にケンカ四つで戦うことが出来ます。

しかし、この方法の場合、組手は後手に回ることが多くなりますので、結果的に大きく有利を取るのは困難かもしれません。
また、一般的にはこのような組手は「ナマクラ四つ」と言われ忌避されており、確かに一流選手で両方の組手を積極的に使う選手は限られているように思います。

常に釣手から取る

この方法は、私の道場にかつて所属していた軽量級の強豪選手も採用していました。
この場合、組み合った段階で大きく有利になることはありません。
しかし、もし五分(もしくはそれ以下)の状態でも投げられる自信があれば、選択肢の1つに上がる方法かもしれません。

筆者の場合

私の場合、実は最後の「常に釣手から取る」パターンに落ち着いてきました。なんなら最近は、相手が相四つだと分かっていても釣手から取るようにしています。

もちろん、デメリットはあります。
それは上記のとおり、一方的に組み勝つような展開には持っていきづらく、また肝心の釣手自体も制御されやすい点です。

しかし、相手がどちらの組手であっても、迷うことなく先に釣手を取りにいけるのは強みになります。
また、釣手側の的である相手の襟元は、肘から先の袖ほど大きく早く動かないこともあり、比較的簡単に取りやすいようにも感じます。

それではここから先は、私と同様に「常に釣手から取る」パターンを選択しようと考えている方向けに、必要な条件やアドバイスについて書きたいと思います。

ここから先は

858字

¥ 200

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?