私のうつ病は。⑤

過去の苦しい時期

 あまりにもひどいありさまだった頃を思い出すのは苦しいのに、なぜかこうやって書き続けるのは、私の性質。やめたら良いのにやめられない。やらなければいけない事がいっぱいあるのに。梅雨の最中で体調も悪い。

視力と運転免許

 私は視力が自動車を運転するには低過ぎて免許を取るのは諦めていたのだけど、乱視用のハードコンタクトレンズを使い始めて、免許が取れるくらいに視力が上がった。最初に原付免許を取得してから自動車学校に通った。車の運転は楽しいものだったけれど、娘が生まれて助手席に娘を乗せて動かすのが怖くなった。きっかけはワゴン車にぶつけられたことだった。

車の運転への不安

 私もそんなに運転は上手な方ではないし、バスや電車でどこにでも行けるところが一番良い。車はお金もかかるし、ガソリンスタンドで給油してもらうのも怖かった。全く向いていない。こんな怖がりが娘を連れて、自分の足のように車を乗りこなせるとも思えなかった。それでも乗らないと生活できない。これはじわじわと私のプレッシャーになった。私はぼんやりしている方だけど、運転はぼんやりなんか出来ない。何か一つでも手順を間違えると怖いことになる。住み始めたまだ若いうちは自転車で買い物に行けた。往復1時間はかかるけど。

住環境と不便さ

 もうこんなところに住みたくない。こんな不便な暮らしはもう嫌だ。山なんか嫌い、私の行く道を阻んでいるように思えて来る。湿気もひどい。映画館もない。国道まで出たらお店はあるけど、全国展開のチェーン店ばかりが目立つ。

生活の困難

 田舎といっても田んぼと住宅地が混在するところで、散歩していてもまったく楽しくもない。自由もない。外に出たら管理人さんにいつも捕まる。神経質で、話好きでめんどくさいおじさんだった。でもこの管理人さんがいなければ、集合住宅はルールを守らない人も必ずいるので、多分荒れるだろう。
 ついに外に出るのが億劫になってしまった。水道の蛇口、ガスの元栓、サッシの鍵、ドアの鍵、何度も何度も確認しないと出掛けられなくなった。車に乗ると事故を起こしてしまうかもしれないと思い、アクセルとブレーキの位置の確認、ギアチェンジは間違ってないか、ちゃんとPに入っているか、サイドブレーキは上がっているか下がっているか、キリがなくなってしまった。
今になってわかったことだけれど、これは脅迫性障がいの症状だ。外に出てから、戸締りは、火の元はと、気になって背中に冷や汗をかく事も続いた。何度も確認したのに。
妊娠・出産、育児をする中でおさまっていったように思えた。家の中にいてもする事がいっぱいあるし、余計な心配をする時間は睡眠にあてた。この時に病院に行っていればと、今は思う。

鹿児島への思い

 夫の実家の鹿児島の方がよっぽど住みやすそうだった。いつか鹿児島には戻るというのは夫や、義父母さまの意向だったので、それまでは我慢しようと思った。早く鹿児島に行きたかった。山の町は、生まれ育った土地からたった60キロしか離れていないのに、悪い意味で別世界だった。電車に乗れば神戸まで行くのに3時間はかかる。往復だけで6時間。いろんなことを諦めた。今は仕方がない。夫がこの山の町に住んで仕事していることは結婚前からわかっていたこと。それを承知でのこと…。

慣れない生活

 「街の子が、あの田舎で暮らせるかな?」昔の職場の人にそう言われた。大丈夫、夫くんがいてくれるんだし、そんなに遠くに行くわけじゃないし。そんなふうに簡単に考えていた。それは大間違いだった。どこに行くにも緊張しながら車を動かして、神経ヒリヒリさせて帰って来て、ぐったりしてしまうのに。

あの頃の状況

 ここに腰を据えて生きていこう、今はそれしかない、そう何度も考えたりしていた。娘も小学生高学年。私も徒歩で行けるところで働けることになった。通勤には困らない、もってこいの場所だった。そうだったのに、全部ダメになった。何度も思い直して慣れようとしたけれど、気が休まる時がなかった。結局、30年暮らして、何一つ慣れることはなかったのだ。何一つも。それは人によるんだろう。私には合わなかった。
別に地方都市でも、どこでも、娘と手をつないで、歩いて毎日の買い物に行ったり、観たい映画を気軽に観に行ったり、ひとりで電車やバスに乗ったり…ウィンドウショッピングしたり、外に出ても緊張せずに気楽に楽しめたらもっと楽に生きて行けたかもしれないと今は思う。今まで環境を変えることで気分転換して、なんとかこなして来たのに、住みたくないところでずっと我慢していた。
これは我慢してはいけない事だったかもしれない。

混乱と絶望

 朝、目覚めて、ここはどこ…?あの足音はお母さん?いや、違う、薄目を開けて天井を見て絶望する。ここは山の町だ。いつの間にかそこまで頭が混乱していた。
うつの治療を始めて3年経っていた。

続くかな...まだ。

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