見出し画像

JHS PedalsによるBOSS TR-2のモディファイ

DS-1に続いて、TR-2 TremoloのJHS modについても具体的にどんな改造がされているか紹介します。

もともとギターアンプについたトレモロを意識して作られたTR-2ですが、JHSの"Versa Trem Mod"は「Fenderの'65 Deluxe Reverbのようなトレモロを目指して改造した」とのことです。一つ注意点として、TR-2は他のBOSSの定番製品と同じく、長い歴史の中で何度も回路のアップデートがされています。そのためブティックメーカーが古いバージョンをモディファイしたものを買わずとも、新しいバージョンの新品で同じ機能が間に合ってしまうことも多いです。

オリジナルからの変更点は以下のようになっています。

Rateに合わせて点滅するLEDランプを追加

電源部の9VとWaveポット(VR1)の3番端子のを繋ぐように5mmのLEDと3.3kΩの抵抗が増設されています。この部分でVCAに送る制御電圧が作られているので、Rateの速さ及びWaveの形状を反映してLEDが点滅します。これによりバイパス時でもトレモロの効き方がわかるのは便利です。

Rateの可変域をより速い方へシフト

Rateポット(VR2)の後にある抵抗R31が56kΩから30kΩに変更されています。これによってより速いトレモロがかかります。

音量の増減がより深くかかるようにDepthの定数を変更

VCAに送る制御電圧を増幅/減衰させるオペアンプ(M5218AL)の負帰還抵抗R27が1.5kΩから4.5kΩに変更され、音量の変化がより強くかかるようになっています。ただしこの変更については最初から4.5kΩになっている個体もあり、BOSSによる回路のバージョンアップによってJHSで変更する必要がなくなった可能性があります。

全体の音量調整ができるノブを追加

Keelyによるモディファイも有名で、同じように音量調節ノブが筐体の横面に追加されています。このノブはVCAに入る楽器の信号が通っている10kΩの抵抗R9を25kΩのポットに変更したものです。ネット上には「エフェクトをオンにすると聴覚上音量が下がったように聞こえるため、その調節をする機能が欲しい」という需要が多いらしく、それに応えたものです。JHSの公式ページではDepthをゼロにしてクリーンブースターとしても使えると謳われています。なおこのR9は、比較的新しいバージョンの基板では最初から内部トリマーになっているらしく、演奏中にいじることがないのであれば改造は不要になったようです。

このほかに、楽器信号がVCAの後に通るオペアンプの負帰還ループに並列に繋がれている10pFのコンデンサC7がカットされています。このコンデンサを取り去ったのは発振防止のために高音域が削れてしまうことへの対策と考えられますが、実際に楽器を繋いで聴いただけではほとんど認識できない程度の変化です。

90年代製のBOSS TR-2に同じ改造を施してみました。総じて、DS-1のSynth Drive Modのような大規模な改造はしていませんが、Rateに同期したLEDランプはLFOをかける他のエフェクターにも応用できるので勉強になりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?