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マイナー題材短命漫画『じょっぱれ瞬!』『かるた』『セコンド』の思い出

更新スケジュールがメチャクチャになってしまっていて、本当に申し訳ございません。1月中に、あと6~7回更新いたします。
本日の更新は、2007年3月に『ネットランナー』に書いた文章のリメイクっぽい感じです。


新連載『マグロ少女』

昨年10月発売の『月刊コミックバンチ』で、マグロ漫画が始まりました。

「美少女がキャンプする」「美少女が麻雀する」「美少女が戦車に乗る」などの系統で、「美少女がマグロ漁船に乗る」漫画です。

まぐろぎょせn

「新感覚マグロ漁船コメディー!!」

(『バンチ』を買わなくても、少し待てばウェブで無料で読めます)

※『バンチ』は Kindle Unlimited で直近1年分が読めるので、そっちならすぐに最新号掲載の第4話まで読めます。

物語の主人公は、国民的アイドル「神楽坂46」のメンバー。
しかし、総選挙では「46人中43位」という底辺で、人気を得るためのレッスン費用などで400万円の借金を背負ってしまい……。

漁船2

漁船3

そうして、女性8人のマグロ漁船に乗り込む主人公。

と、美少女マグロ漁船はファンタジーですが、この漫画、漁の描写とかは意外とガチめ(?)な気もします。

リアル?

サメ2

マグロ漁船の知識がない私には、何がリアルで何がフィクションなのか全然分からないのですけど……。

デッキブラシ

こういう小ネタ、個人的には面白いです。

あと、美少女アイドルの公開排泄みたいなサービスシーンもあります。

便所1

便所2

「トイレにドアがない」は、作者が漁船の取材に行って得た情報らしいです。

そんな感じで、ちょっと人を選ぶ漫画かも知れませんが、ネットアイドルちゆは『マグロ少女』を応援しています。


■余談:『夜明け後の静』について

『マグロ少女』の作者の過去作が、『夜明け後の静』でした。
そっちは、武家の娘の維新後の生活を描いた「明治恥辱浪漫譚」(公式コピー)で、「異文化紹介+微エロ+ほんのり百合」など、『マグロ少女』と共通点は多いです。
ヤンジャンでの掲載は短期で打ち切られましたが、私は好きでした。

※『夜明け後の静』も、どこまでが史料に基づく事実で、どこから創作なのか見分けにくいところがありました。
(明治の女学生が「女子力」とか言い出すのはひと目で分かる脚色ですし、「自転車」に対する感覚が20年ほどズレているのは話の都合で良いと思いますが、「日本には明治まで恋愛はなかった」は誤解を助長しそうで良くない気もしました)


マガジンの打ち切りマグロ漫画『じょっぱれ瞬!』

マグロを題材にした漫画としては、2001年ごろ『ビッグコミック』に連載した『まぐろ土佐船』などがあります。
(『土佐の一本釣り』の青柳裕介先生の遺作)

少年誌でも、2006年~2007年の『週刊少年マガジン』にマグロ漫画がありました。

じょっぱれ単行本

(※『マグロ少女』は遠洋漁業ですが、こちらは沿岸漁業)

この『じょっぱれ瞬!』が始まったころは、ドキュメンタリー番組『マグロに賭けた男たち』が人気でした。

※2007年のお正月に10億円の予算を投じたテレビドラマ『マグロ』が放送

そのブームに乗ろうとして、2006年11月に「マグロ一本釣りに挑む少年を描く! 破天荒新連載」がスタートされたのでした。

じょっぱれ

「少年誌初のテーマに挑む、新人コンビ!!」

物語の主人公は、中学3年の男の子。
父親の借金3000万円を返すために、老人に体を売る「美BOY倶楽部」でバイトすることになります。

画像14

週刊少年マガジン誌上で少年売春

しかし、初仕事の直前、主人公はマグロで稼げば良いと気が付きます。
そして「マグロだぁ!!」と叫んで青森に走るところまでが第1話でした。

でも、この漫画はわずか9週で打ち切り。
第4話で掲載順が最後尾だった
ので、読者アンケートはヒドいものだったと思われます。

最後は、あっさりと3000万のマグロを釣り上げて借金を完済した主人公が、数年後には立派な漁師になっていて、

じょっぱらすと

「いっくぞぉぉ!! マグロぉぉぉ~~~っ!!」と叫んだところで「先生の次回作にご期待ください!」でした。


『じょっぱれ瞬!』の単行本について

『じょっぱれ瞬!』の単行本を買った人は少ないと思うのですが、実は単行本では、ラストが大幅に加筆されております。
(マガジン掲載時の「そして数年後」以降のラスト4ページを全部なかったことにして、48ページの最終回と差し替え、42ページの後日談を追加)

雑誌掲載時には、9週で打ち切られたために未消化の伏線が残っておりました。
第1話しか出番がなかった幼なじみとか、

おさななじ

謎に行方不明になったまま最後まで帰ってこなかった母ちゃんとか、

かあちゃん

これらの放置された伏線を、単行本の90ページの加筆でも完全に無視。

地元に残した幼なじみは思い出されることもなく、母ちゃんが帰ってくる気配もなく、主人公が大統領といっしょにマグロを釣って終わったのでした。

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大統領「JOPPARE!!(じょっぱれ!!)」

(「大統領がマグロを釣る」という題材を特に面白く感じさせないのが逆にスゴイかも知れません)

あと、この辺をチェックした読者は日本に私しかいない気もするのですが、

どーん

雑誌と比較すると、単行本で仕上げを追加しているようです。

雑誌の印刷に出てないだけなのかよく分からん部分もあるのですけど、シワや汚れの描き込みが増えており、影のトーンも足したようです。

じょっぱれ比較

と、単行本では若干エロくなっております。たぶん。


チャンピオンの打ち切りカルタ漫画

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