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「して欲しい」は間違いだという誤解を『毎日新聞』が広めている?

この記事は8月23日に更新しました。(7月分の更新が遅れております。大変申し訳ございません)

概要

2023年8月21日の「毎日新聞 校閲センター」のツイートについて。

これが、「して欲しい」が「間違い」だと誤解させそうなツイートだと感じたので、その話をさせてください。


出版のローカルルール

本や雑誌には、ローカルルールみたいなものがあったりします。

過去に取り上げたものでは、小学館の漫画は句読点を付けるとか……。

『ハレンチ学園』。集英社のオリジナル & 小学館から出たバージョン

集英社版で「死んで た たまるかよう」だったところ、小学館から出た愛蔵版では「死んで た、たまるかよう。」

同じ小学館でも、全部がこうなわけでもなく、『ちゃお』や『Sho-Comi』では句読点が付きません。

また、『サンデー』では「……」の後に句点を付けないところ、『コロコロ』では「……」の後にも句点を付けるというルールだったりします。

たとえば、『犯人の犯沢さん』は『サンデーS』連載なので、「。」は付けるけど「…」の後には付きません。

『サンデーS』2023年3月号

しかし、『コロコロコミック』に出張掲載されたときだけは、「…」の後にも「。」が付いていました。

『コロコロコミック』2022年10月号

こういうのって、編集者はこだわるのですが、読者は気にしていないような気がします。

 

新聞のやつ

さて、出版社や雑誌によって、そういうルールが少ない場合もあれば、詳細なルールブックが存在する場合もあります。

たとえば、『毎日新聞』の記事の書き方は、「毎日新聞用語集」という本に載っていて……。

接続詞、感動詞、助動詞、助詞など補助的に使われる語は、原則として仮名で書く。

接続詞 あるいは かつ しかし しかも すなわち そして ただし ところが ないし なお また

ただし、次の語は漢字書きでもよい。

従って 故に 及び 並びに

とか、きっちり定められております。

「漢字書きでもよい」のを平仮名で書くのはアリなのですが、「仮名で書く」とされているものを漢字で書くのはルール違反です。
(「則ち」「但し」はダメで、「故に」「ゆえに」は両方OK)

私個人的には、どう書けば読みやすいかはケースバイケースですし、表記の統一にこだわる意味も薄いと思っているのですが……。
記者やライターで、自分とこのルールが世界の常識だと思い込んでいる人も多かったりします。

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