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『BASTARD!!』の単行本加筆やアニオリの話

※この記事は9月24日に更新しました。マガジンとしては「8月分の記事」のところ、更新が遅れてしまっており、大変申し訳ございません。

前置き

今日は、萩原一至先生の漫画『BASTARD!!』の話をさせてください。

これ

昭和に始まった漫画なのですが、令和になってNetflixでアニメ化されております。
なので、「アニメ化された部分の連載当時の話」や「アニメのオリジナル要素の話」などについて書かせてください。

いちおう、最初に『BASTARD!!』自体の基本的な説明も入れてみたのですが……。
原作を読んだことがないと、あまりピンとこない内容になっているかも知れなくて、申し訳ありません。


『BASTARD!!』略史

アシスタント

『BASTARD!!』の作者・萩原一至先生は、まつもと泉先生のアシスタントをしていました。
『きまぐれオレンジ☆ロード』の背景に、萩原一至っぽいモブがいたりします。

例:右下のモブ(週刊少年ジャンプ 1987年41号)

 

週刊連載

そして、『週刊少年ジャンプ』の1987年47号に、萩原一至先生の読切『WIZARD!!』が掲載されます。

それが好評で、1988年から連載化。
いまだに終わっていない『BASTARD!!』の始まりでした。

『週刊少年ジャンプ』1988年13号(14号の予告)

※『D&D』や『ウィザードリィ』の日本語版が1985年、『ロードス島戦記』の小説や『ドラゴンマガジン』の創刊が1988年と、ファンタジーブームの初期ごろでした。

しかし、『ジャンプ』誌上では、後方打ち切り漫画ヅラをしており……。

『週刊少年ジャンプ』1988年26号 & 1989年34号

いつ終わっても不思議はなさそうな位置でしたが、1年以上続きました。

しかし、週刊で描くには作画カロリーの高すぎる作品ということもあって、色々と限界っぽいところも出てきて……。

単行本8巻

単行本では ↑ のようになっているシーンも、『ジャンプ』掲載時はこんな感じでした。

『週刊少年ジャンプ』1989年34号

この数週後には、「作者急病につき、連載を終了させていただきます」という形で、唐突に連載が終わってしまいます。

『週刊少年ジャンプ』1989年37号

 

補足

この「しばらくの間、療養を必要としますので、先生と相談のうえ……」は、少し後に『ボクはしたたか君』でもありました。

『週刊少年ジャンプ』1990年19号

※『したたか君』は「休載」という案内でしたが、再開することはありませんでした。腰痛は恐ろしいです。

ただ、『ボクはしたたか君』が「連載休載のお知らせ」だったのに対して、『BASTARD!!』は、いきなり「連載終了のお知らせ」でした。

(その辺、やっぱり元々打ち切り候補だったというか、もしも「作者急病」がなかったら、全10巻くらいの漫画になっていたのかも……などと妄想されます)

 

季刊連載

とにかく、『週刊少年ジャンプ』での連載は、1989年8月8日に載った「地獄の鎮魂歌編」の第3話を最後に終了して……。

10月26日発売の『ジャンプ』の増刊号で「復活!!!」が告知されます。

週刊少年ジャンプ 1989年 Autumn Special

「十分な休養をとり、執筆体勢を整えることができました」
ということで、1989年12月26日発売の増刊に「地獄の鎮魂歌編」の第4話が掲載。

週刊少年ジャンプ 1990年 Winter Special
再開早々の乳首(単行本9巻で表紙差替になったイラスト)

以降、年4回の増刊号で連載という形式になりました。
(これは結果的に、週刊連載よりも合っていたのかも知れません)

 

最終章

そうして、1989年12月~1991年12月まで連載して、「地獄の鎮魂歌編」は終了。
翌年3月から「罪と罰編」が始まります。

この1992年3月27日発売号で最終章エピローグへ突入!!」と言っていたのですが、30年経った今でも終わっておりません。

週刊少年ジャンプ 1992年 Spring Special

「物語もいよいよ大づめ」

「6年に渡る壮大な叙事詩のこれが最終章!!」

などなど、この時点では「罪と罰編」で終わる予定だったらしいです。

読者としては、暗黒の破壊神アンスラサクスがラスボスだと思っていたのですが、

週刊少年ジャンプ 1993年 Winter Special

1992年12月あたりで、敵が天使に変わりました。
それから、すさまじい勢いで風呂敷が広がっていきます。

そして、急展開に置いていかれた主人公が1996年になってもまだアンスラサクスと戦っているつもりというギャグが入ったりもしました。

週刊少年ジャンプ 1996年 Spring Special

 

補足:季刊連載時の単行本変更

有名な「愛の絶頂~~!!!」のページは、雑誌掲載時はこんな感じでした。

週刊少年ジャンプ 1996年 Spring Special

単行本では、この白い帯が単行本では消えるのですが、同じ18巻で、版によって加筆修正があります。

18巻の初版(左)と、その後の版(右)

初版では乳首が隠れきっていなかったところ、後の版では白く消されます。
しかし、演出は派手になって、一概に初版が良いとも言い難いです。

 

月イチ連載

そうして、増刊で1996年まで連載した後は、再び『週刊少年ジャンプ』に移籍。
1997年~1999年に、本誌で「月イチ掲載」されました。

この背景としては、1995年~1996年に『レベルE』によって月イチ連載の前例が作られていて……。

ドラゴンボール終了などで部数が激減した『ジャンプ』が、何かを期待して『BASTARD!!』を呼び戻したのでしょうか?

この移籍に合わせて、「罪と罰編」は一旦中断。
時間軸を少し未来に飛ばした「背徳の掟編」を描いてから「罪と罰編」に戻るという予定になっていました。

しかし、その本誌連載(約20話)では、最初に登場したコンロンという敵との戦いが、2年ほどずっと終わりませんでした。

1997年の第4話で「VS魔神コンロン 決着か…!?」。

『週刊少年ジャンプ』1997年52号

1999年の第19話で「対悪魔前哨コンロン戦…決着へ…!!」。

『週刊少年ジャンプ』1999年41号

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