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有名な封印漫画の話(『天才バカボン』の単行本未収録の最終回、藤子不二雄先生の『狂人軍』)

少しバタバタしてしまって、更新が遅れたのに文章が短めで申し訳ありません。
(単行本未収録漫画の話題としては、個人的には、以前取り上げた『食べ物がなくなる』『シベリアの牙』『ラブバスケット』『D・F・O』みたいな話がしたいのですが、『天才バカボン』や『狂人軍』についてこういう系の紹介をするのは、なんか違うかもです…)


『あだち勉物語』を読んで

サンデーのアプリなどで、『あだち勉物語』という漫画が連載中です。

あだち物語

あだち充先生といえば、『みゆき』『タッチ』『H2』などの作者。
その実兄・あだち勉先生にスポットをあてたのが、この『あだち勉物語』になります。

(あだち勉先生は、2004年に56歳で亡くなっています。80年代に『実録あだち充物語』という作品を描いておられ、それを踏襲しての『あだち勉物語』という感じです)

あだち勉先生も漫画家で、自分の作品を描く以外に、赤塚不二夫先生のアシスタントもしていました。
なので、『あだち勉物語』にも赤塚先生が登場して……。

横領1

経理に2億円横領された件も出てきたりします。

もう少ししたらタモリさんと出会って、新宿二丁目で赤塚先生とタモリがロウソクを垂らし合いながら全裸でクネクネしたりするのですよね。

あさだてつやタモリ

阿佐田哲也『麻雀狂時代』より

ともあれ、『あだち勉物語』によると、赤塚不二夫先生の漫画の内容は、アシスタントや漫画家など、その場にいるみんな(他社の編集者含む)で会議して決めたそうです。

アイデア会議1

アイデア会議3

和気あいあいとした会議風景。
これを見ると、そういえば『天才バカボン』にも、このアイデア会議を題材にしたメタいエピソードがあったなあ……と思い出します。

バカボン03

『天才バカボン』(月マガ89年2月号掲載)

初手でバカボンのパパとママを離婚させようとするアシスタントたち。
なんか、『あだち勉物語』の描写と若干雰囲気違いますね。

(『天才バカボン』の会議はギャグとして誇張されたもので、『あだち勉物語』の会議は死後に神格化されたものと思われます。知らんですけど)


単行本未収録の『バカボン』最終回について

80年代後半の『月刊少年マガジン』に連載した『天才バカボン』は、

・2007年の『天才バカボン THE BEST 講談社版』
・2008年の『天才バカボン 秘蔵 単行本未収録傑作選』

という2冊に、ある程度収録されました。

しかし、前述したアイデア会議のエピソード(最終回)は、内容がマズいと判断されたのか、収録されませんでした。

そんな感じで、『天才バカボン』は色々な雑誌に連載したので、「連載の最終回」は何個もあるのですが、その中に「単行本未収録の最終回」が存在することになったのでした。

って、この手の話題としては有名な部類かと存じますが、思い出しちゃったので、短めに紹介してみようかなと思います。


『天才バカボン』の最終回について

問題のエピソードは、『月刊少年マガジン』の1989年2月号。

バカボン01-

今回で終了になるということで、アシスタントたちも正義の怒りに燃えています。

画像9

連載の担当編集者は永井さんという方だったようで、

永井

という感じで、最後だからメッチャクチャ描こうという話になります。

そして、前述した「まずパパとママとを離婚させましょう!!」という提案が出て……。

離婚1

離婚3

ということで、2人は離婚。
(原因は、バカボンのママが『月マガの編集者たちと不倫した疑い)

離婚しちゃって、この後どういう話にするんだ……という赤塚不二夫先生に、アシスタントはこう答えます。

バカボン07

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